(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産を相続した際、ごくまれに「農工銀行」という抵当権がついていることが判明するケースがあります。いまは存在しない銀行名であり、相続人はどのような対処が必要かわからず途方に暮れることもあるようです。この抵当権の抹消を行うには、どんな手続きが必要なのでしょうか。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が解説します。

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相続した不動産に「**県農工銀行」名義の抵当権が…

 相談内容 

 

祖父が亡くなり、父が山梨県の不動産を相続したところ、その不動産に「山梨県農工銀行」という名義の抵当権が設定されていることが判明しました。

 

父は不要な物件なので売却したいとのことですが、抵当権抹消をしない限り売却手続きはできないと聞いています。しかし、どのような手続きを経て抹消すればいいのかサッパリわからず、途方に暮れています。

 

一体どうしたらいいのでしょうか。

抵当権を承継する「みずほ銀行」への依頼が必要に

 回 答 

 

農工銀行の抵当権は、ほとんどが昭和初期の戦前の日付で設定されています。

 

そのため、まず見かけることはないのですが、相続登記を放置していたような場合だと、いまでもごくまれに目にすることがあります。

 

この登録抹消の手続きは、おそらく一般の方には相当に困難であると思われます。

 

そもそも農工銀行とはどのようなものかというと、農工業の発達のための貸付を目的とした銀行であり、明治期以降、北海道を除く全府県に各1行ずつ設立されたという背景があります(Wikipedia「農工銀行」)。

 

その後、日本勧業銀行に合併され、日本勧業銀行はさらなる合併により第一勧業銀行になり、その後また合併を経て、現在の「みずほ銀行」となっています。

 

つまり、農工銀行の後身は現在のみずほ銀行です。

 

いろいろと複雑でわかりにくいですが、農工銀行の名義の抵当権の権利は、現在のみずほ銀行へ承継されているということです。

 

そのため、これらの抵当権の抹消登記手続きは、現在のみずほ銀行へ連絡して書類を手配することになります。

 

おそらくこの時代の抵当権で、現在まで登記名義だけでも残ってしまっているということは、抵当権を抹消するための書類等は、まず残っていないと想定されます。

 

そのため、みずほ銀行に書類の再発行を依頼するほかありません。

 

登記識別情報通知や登記済証もないため、「事前通知制度」を使うことは必須となるでしょう(『相続した実家に抵当権…抹消登録手続き未完&必要書類も紛失、売却は不可能か』参照)。

 

2~3ヵ月ほど時間がかかることが予想されますので、時間に余裕をみて専門家へ依頼するのがおすすめです。

 

 

近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

 

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本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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