前回に引き続き、「下降相場」を収益チャンスに変える方法を見ていきます。今回は、より具体的な投資手法を紹介します。

大きく値上がりした「日本の主力銘柄」を売る

下降相場に転じたら空売りをしましょう――とはいっても、空売りの経験がない多くの個人投資家は銘柄選びが難しく感じるかもしれません。これまでの上昇相場では値上がりが期待できる銘柄を選んできたのですから、下降相場では値下がりが期待できる銘柄を売ることになります。

 

要するに、皆さんが今まで選んできた方法と全く正反対のことをすればいいというのが基本的な考え方です。

 

一つの戦略は、アベノミクス相場で大きく値上がりした銘柄、つまりは円安の恩恵を受けたトヨタ自動車や日産自動車といった、日本を代表する主力銘柄をどんどん売っていくという方法です。

 

内需系では不動産業・建設業の株も、アベノミクスによる異次元の金融緩和とオリンピック効果で大きく値上がりしたため、その分だけ下落したときに大きな値下がりが予想できます。

 

今や日本を代表する国内優良株となったソフトバンクやファーストリテイリングも狙い目です。いずれも日経平均株価を構成する225銘柄に組み込まれ、時価総額も大きいことから、機関投資家が大量に手掛けている銘柄でもあります。

「機関投資家」が大量に保有している銘柄が狙い目

株価を大きく押し下げるには、大きな売り需要が必要です。相場が下落したとき、大きな売り需要を浴びせるのは機関投資家です。それゆえ、彼らが大量に保有している銘柄は個人投資家が下落局面で仕掛けるのに最適な銘柄だといえます。

 

機関投資家の規模はさまざまではありますが、「時価総額が100億円以上の銘柄」を一つの目安として保有する傾向にあります。

 

特定の投資家が大量に株式を保有する場合、「5%ルール」という報告義務があります。一つの銘柄に億単位で投資する機関投資家が時価総額の小さな株を買うと、保有率がすぐに5%を超えてしまうため、保有していることを公開しなくてはなりません。そのため、彼らは時価総額が大きな銘柄を保有することが多いのです。

 

そして、彼らは社内ルールに則って売買しているため、ひとたび下落相場に転じれば、業績の良しあしに関係なくリスクヘッジとして保有銘柄を大量に売り飛ばします。評価損益が規定の許容度を割り込めば、一斉にポジションを解消しなくてはならないので売りが売りを呼ぶ展開となるわけです。

 

大きく下落すると、今度は空売りを掛けていた人が利益確定に動き出すため、空売りの買い戻しによって株価が一旦戻ります。ところが、依然として売り勢力のほうが圧倒的に強いことから、結局は再び下降トレンドに戻り、さらなる下落が続いていくのです。

 

このようにアベノミクス相場で大きく値上がりした主力銘柄をただ売ればいいだけですから、銘柄選びに苦労することもなく、誰でも簡単に大きな収益を狙えるはずです。

 

ただし、主力銘柄の多くは株価が高いため、最低でも50万円から100万円程度の元手が必要です。そのため、やはり「低位株」投資と同様に、一つの銘柄に絞って集中投資を行うのが基本スタンスになります。

本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

紫垣 英昭

幻冬舎メディアコンサルティング

アベノミクス効果や日銀の金融緩和により、賑わいをみせている日本の株式市場。昨年からはじまったNISAに続き、ジュニアNISAの創設や教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長など、若年層にむけての資産形成支援も充実…

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