今回は、「信用評価損益率」を活用した相場の見方を説明しました。今回は、続ければ大きな財産になる「トレード日誌」の付け方を見ていきます。

損失を引き起こす本当の理由は「メンタル」にある!?

人間は誰でも「欲望」と「恐怖」という感情を持っています。普段は意識していなくても取引に入った途端に、「もっと儲けたい」という欲望と、「損をするのではないか」という恐怖が現れて、冷静な投資判断を阻害してしまいます。

 

株式投資は一見、相場と戦っているように思えるでしょう。しかし、本当に戦うべき相手は自分の中にある欲望と恐怖なのです。つまり、利益を上げ続けるためには、「マネーマネジメント」に加えて、「メンタルマネジメント」も非常に重要だということです。

 

エントリーしようと思ったとき、あるいはエントリーした後に、欲望と恐怖が湧き上がってくるのは、投資判断に迷いがあったり、自信がなかったりすることが原因です。

 

そして、不安が的中して損をしたときは、典型的な負けパターンのように、「なんとなく」雰囲気で買ったり、チャートソフトで買いシグナルが出たから・・・といった他人や情報任せの曖昧な理由で取引をした場合がほとんどです。

 

しかも、個人投資家の多くは「あのときはたまたま運が悪かっただけ」だとか「ちょっとしたタイミングのズレが引き起こした」などと、失敗に至るまでのプロセスを振り返るだけで、損失を引き起こした本当の理由に目を向けようとしないのです。

トレード日誌には「6つのポイント」を書き記しておく

セミナーの講師を務めたとき、筆者は個人投資家の皆さんに決まって尋ねることがあります。それは「売買記録を付けていますか?」という質問です。面白いことに、手を挙げる人は不思議と全体の10%程度です。なるほど、個人投資家の9割が株で損をすると言われるとはそういうことかと毎回、納得させられます。

 

結果に至るには必ず原因があります。重要なのは、自分はどういったプロセスで失敗への道を歩いてしまったのかと自分の行動を振り返ることです。そして、自分自身が軸となり、いつ何時も自分で考えた売買ルールに従って投資すれば、欲望と恐怖に打ちのめされる機会は次第に減っていくはずです。

 

個人投資家の9割が株で損をする最大の理由は、自らの思考や行動と投資の手法を分析し、正すことができないからに他なりません。

 

株式投資で勝ち続けたいなら、取引の記録として「トレード日誌」を必ず付けてください。最初は面倒に思えるかもしれませんが、人間は都合の悪いことはすぐに忘れてしまう生き物です。一旦、相場から離れて、客観的に自分の行動を振り返るために、「トレード日誌」は大きな力を発揮してくれます。

 

具体的なポイントはこうです。

 

●なぜその株を買ったのか

●その背景は何だったのか

●どのタイミングで仕掛け、その結果どうなったのか

●どこで利食い(あるいは損切り)したのか

●なぜその取引は成功(あるいは失敗)したのか、損益はいくらか

●改善点は何か

 

以上のポイントをデータベースとして残しておきましょう。できればこのときに日経平均株価と前日のニューヨークダウ平均の値動きと、ドル円の為替動向も一緒に記述しておくのがベターです。「なぜ上げ下げしたのか」という理由は、ネットで調べればすぐ出てきますので、これもノートに記載してください。

 

保有している銘柄があるときはもちろん、何も手掛けていないときでも、こうして日々、記録を積み重ねていくと、相場観を養うと同時に、あなたの得手不得手や失敗パターンが見えてきます。売買ルールを見直すなど、次の教訓として活かすことで投資精度は必ずや上がってくるはずです。

 

機関投資家などのプロは毎日欠かさず「トレード日誌」を付けることで、自らの投資行動を客観的に振り返る時間を設けています。個人投資家である皆さんも「トレード日誌」を続けることで、いつの日か「トレード日誌」が大きな財産であることに気付くときが来るでしょう。

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    本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

    初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

    紫垣 英昭

    幻冬舎メディアコンサルティング

    アベノミクス効果や日銀の金融緩和により、賑わいをみせている日本の株式市場。昨年からはじまったNISAに続き、ジュニアNISAの創設や教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長など、若年層にむけての資産形成支援も充実…

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