前回は、年々不確実性が高まる「日本株」に投資する際の留意点を説明しました。今回は、「買い」から入る人にとっては悪夢でしかない「下降相場」を、収益チャンスに変える方法を見ていきます。

下降トレンドに従う「空売り」で大きな収益を得る

買いからしか入れない人にとって、これから訪れる下降相場は悪夢でしかありません。しかし、下降相場をも収益チャンスに変える方法があります。買いが通用しない相場で大きな威力を発揮してくれるのが「空売り」です。

 

連載『「大勝できる銘柄」を簡単・スピーディに見分ける方法』で、躍起になって相場と戦わなくても株式投資で勝てる方法として、「トレンドフォロー」を取り上げました。これは相場と仲良くして、相場の流れに従う方法です。トレンドフォローの考え方に則ると、上昇トレンドのときは買いで、下降トレンドのときは売りで勝負するのが原則です。

 

したがって、近い将来、下降相場が訪れても、相場を味方にした「トレンドフォロー」――つまりは、下降トレンドに従う「空売り」を講じることができれば、株価下落の勢いを大きな収益に変えることができます。

 

これまで「この上昇相場はいつまで続くのか」が気になり株式投資のタイミングを逃していた人も、空売りをマスターすれば、やがて訪れる下落相場を恐れる必要はありません。むしろ大きな儲けのチャンスがやってきたと、ポジティブにとらえることができるはずです。

「市場心理」の分析で下降相場の波に乗る

相場は上がるか下がるかの二つしかありませんが、実は相場には上昇のスピードは遅く、下降のスピードは速いという特徴があります。

 

一般的に、上昇相場が形成されるまでには多くの時間を費やしますが、大きく上昇した銘柄が一旦下落に転じるや否や、坂道を転げ落ちるように数日間で大きく急落することも珍しくはありません。そのようなことが起こる理由は以下のように考えられます。

 

市場参加者の多くは買いから入ります。株価が上がると含み益が増えるため、その結果に大いに満足する人たちが増え、高揚感はありつつも比較的相場は安定的に時間をかけながら上昇していきます。その間、利益を確定する人も出てくるため、上昇スピードは抑えられやすくなります。

 

これに対し、株価が下がると、市場参加者の多くは含み損を抱えたままポジションを持っている状態に一変します。

 

中でも、個人投資家はリスク管理が甘い傾向にあるため、損切りができないまま含み損はさらに拡大します。そして、ようやく堪えきれなくなったところで一斉にパニック売りが起こるため、その売りの圧力が下落スピードを一層速め、さらなるパニック売りを呼び込むことになります。

 

こうした市場の心理から、下降相場の波にうまく乗ることができれば、短期間で上昇相場以上の利益を生み出すことも可能なのです。

下降相場で「売り」から入るために信用取引を使う手も

近い将来、大きな下降局面に入り、ほとんどの株が値下がりすることが分かっているのですから、本連載をお読みの皆さんも、そのときが来たら売りから入らない手はありません。

 

今は人気があって高値の株も、いずれ下がりそうだと思って見ていたら、それが現実のものになったという経験はありませんか? もしもそのようなときに売りから入ることができたなら、値下がりしたことによって得られた利益があったことになります。

 

しかし、現物取引では売りから入ることができません。持っていない株の売りから入るには、信用取引で証券会社から株を借りるということになります。これが信用取引の売りです。

 

同じく連載『「大勝できる銘柄」を簡単・スピーディに見分ける方法』では、信用取引の枠を使って銘柄の選択肢を広げる方法をご紹介しましたが、ここで信用取引を勧める理由は、下降相場で売りから仕掛けるためです。

 

繰り返しになりますが、決してレバレッジ(テコの原理)を効かせて、大金を動かすためではありません。そのため、信用枠は担保となる現金の約3倍が上限として設定されていても、上限ギリギリまで使うことは絶対に避けてください。連敗したときの損失を鑑みて、レバレッジは1.5倍までに設定するのが妥当です。

 

信用取引の口座を開設しておけば、上昇相場、下降相場のいずれの局面でも戦略の幅がグンと広がることでしょう。

本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

紫垣 英昭

幻冬舎メディアコンサルティング

アベノミクス効果や日銀の金融緩和により、賑わいをみせている日本の株式市場。昨年からはじまったNISAに続き、ジュニアNISAの創設や教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長など、若年層にむけての資産形成支援も充実…

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