※画像はイメージです/PIXTA

遺産相続では相続人同士の協議(遺産分割協議)が必要になる場合がありますが、たとえば親と未成年の子供が相続人の場合、子の権利が侵害される恐れがあるので「特別代理人」を立てないと協議は進められません。みていきましょう。

「特別代理人選任」の基本的な流れ

未成年者や成年被後見人である相続人がいる場合は、特別代理人を選任してはじめて遺産相続の手続きができるようになります。そのため、なるべく早く特別代理人を選任することが大切です。

 

特別代理人選任は家庭裁判所に申し立てる

特別代理人を選任するには、未成年者または成年被後見人である相続人の住所を管轄する家庭裁判所で申し立てをします。申し立てには次の書類等が必要です。申し立てができるのは、親権者(未成年後見人も含む)、成年後見人や利害関係者です。

 

  • 特別代理人選任申立書(800円分の収入印紙を貼付します)
  • 未成年者または成年被後見人である相続人の戸籍謄本
  • 親権者または成年後見人の戸籍謄本(相続人と同じ戸籍であれば相続人の戸籍謄本で兼用できます)
  • 特別代理人候補者の住民票または戸籍附票
  • 遺産分割協議書の案
  • 連絡用の郵便切手

 

申し立てには遺産分割協議書の案が必要

特別代理人選任の申し立てをするには、遺産分割協議書の案を作成しておく必要があります。

 

家庭裁判所は、遺産分割協議書の内容をもとに特別代理人選任の申し立てを受理するかどうかを判断します。遺産分割協議書の内容が未成年者や成年被後見人である相続人にとって不利なものであれば、申し立てが受理されない可能性があります。

 

申し立てを受理してもらうためには、未成年者や成年被後見人である相続人に少なくとも法定相続分を相続させることが理想です。ただし、現物の不動産を分割できない場合があるほか、未成年者を養育するために親権者が財産をまとめて相続した方がよい場合もあるでしょう。

 

このような場合は、遺産分割協議書や特別代理人選任申立書に「子の養育費に充てるため便宜的に親権者に遺産を相続させる」などと明記しておくとよいでしょう。相続人に不利な内容ではないことを示しておけば、家庭裁判所に受理されやすくなります。

 

特別代理人を選任する場合の遺産分割協議書は、相続人の署名と押印の方法が通常とは異なります。相続人の氏名に続いて、誰の特別代理人であるかを明記したうえで特別代理人が氏名を記入し、実印を押印します。

 

特別代理人を選任する場合の遺産分割協議書の署名・押印例

適任者がいない場合は信頼できる専門家に相談

ここまで、遺産相続で特別代理人の選任が必要になる2つのケースと、特別代理人選任手続きの流れについてお伝えしました。

 

遺産相続では、未成年者や成年被後見人が相続人になっていて、本来代理人となるべき親権者や成年後見人もともに相続人となっている場合に、特別代理人の選任が必要です。

 

特別代理人には特別な資格が必要ないため親戚などに依頼することが多いですが、候補者が適任でない場合は家庭裁判所によって選任されることもあります。特別代理人になってもらえるような親戚などがいない場合は、信頼できる司法書士や弁護士などの専門家を探して依頼することをお勧めします。

 

家庭裁判所によって選任される特別代理人はこちらでは関与できないため、ご自身と相性の合わないなどの問題が発生することもあるためです。ご自身で予め信頼できる専門家を見つけておけば、選任申立て手続きから代理人としての役割まですべて安心してお任せすることができます。

 

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧