「何の意味も見いだせない」と思う上司の指導から、部下が学べる大切なこと【脳神経外科医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

若い世代への教育や指導は難しく、する側もされる側も悩みがちです。たいていの場合、指導する側は「自身が若いころに受けた指導」をなぞろうとしますが、それが必ずしも奏功するとは限らず、若い方はときに、指導をネガティブに受け止めてしまうこともあります。医療現場という緊張と多忙を極める職場で、多くの部下を育成してきた脳神経外科医の筆者が、部下や後輩指導のヒントを解説します。

「反骨精神」を期待する教育は、やる気を削ぐ結果に

僕自身の若い頃、上司や先輩の手術に助手として参加させてもらうこともできず、学ぶ場も与えられないなど、理不尽だと思う経験は何度もありました。そんなときは大きな不安と不満を感じていました。仕事を覚えていくための「守破離」のうち、基本的な「守」さえやらせてもらえないこともあったのです。

 

僕の場合は、かえってそれで「何くそ」と反骨精神が湧きましたが、やはりこうしたやり方は若い人のモチベーションを失わせる行為です。現場ではどうしても不満や不安が大きくなってしまいました。

 

そんな苦い経験があったため、下の世代の人には守破離の「守」をまずきちんと見せたうえで、その人自身が自分で殻を破ったり、独自に新しいものを取り入れたりしてくれたらいいと思って実践しています。やはり自分が苦労してきた経験というのは、良い意味でも悪い意味でも生きていると感じます。

 

ただし、それを下の世代に押し付けてはいけないと思っています。

 

苦労してきたからこそ若い人に自分のやり方を押し付けたくなりますが、時代は大きく変わっています。自分たちが経験したことも、5年後、10年後にはもう時代遅れになっているかもしれません。上の世代はそのことを肝に銘じておいたほうがいいと思います。

 

また、若い世代の人は、上の世代から言われたことをネガティブに受け取ることもあると思います。「このおっさん、なんてくだらないことを言っているんだろう」と感じることもあるかもしれません。僕もたくさん経験がありましたから、そう思う気持ちはよく分かります。

 

ただ、その際に「ムカつく」で終わってしまうともったいないと思います。

 

自分に向けられた叱責や否定、「ノー」と言われるところには、やはり「宝物」があるからです。自分が言われたことについて一度は噛み砕いて考えてみて、自分にとって有益だと思ったら取り入れればいいし、やっぱりあの人の言っていることには何の意味もないという結論に至ったら、「こういう考え方をしたら、こう思われるんだな」という反面教師にすればいいのです。

 

このときもまずはきちんと振り返り、「このアドバイスには何の意味もない。少なくとも、自分はこんな考え方をするのはやめよう」という結論に至ることが重要です。そうすれば、心ないアドバイスでさえ宝物に変わるのです。

世代間の差はない、あるのは「新しさへの対応力」の差

そもそも、つい若い世代を批判しがちな上の世代の人もいます。最近の若い人はすぐキレるとか我慢ができないなどと言う人もいますが、僕はそれは間違いだと思っています。

 

そもそも10代の人と新入社員、また中高年とでは、考え方や視点が違うのは当たり前です。社会に出て何十年も経った人と、まだ社会に出ていない人とでは物事の受け止め方が違うのです。

 

また、就職して1日で辞めてしまう人を見て「今どきの若い者は……」なんて言う人もいますが、それは若いことが原因ではなく、その人自身のパーソナリティの問題です。20代でも40代でも60代でも、安易に会社を決めて失敗する人はいます。

 

ですから、僕はジェネレーションギャップというのはあまりないと思っています。ファッションで感じることはありますが、そのほかでは感じません。

 

最近は多様性を受け入れようとか、個性を尊重しようとか、SDGsについても配慮しようなど、これまでとは世の中の価値観も大きく変わってきています。さらに、古い世代と新しい世代の断絶などが叫ばれることもありますが、それは世代の差ではなく、そうした新しい価値観や世の中の変化に対応できるかどうかの差ではないかと思うのです。

 

もちろん新しいものを何でも取り入れればいいというわけではありません。良いものと良くないものを選別する必要がありますが、新しい価値観を吟味してみようともしない人は、今の時代で生きていくことを否定するようなものです。そして、そういう人が、つい「今どきの若い者は」などと言いたくなるのではないかという気がします。

 

山本五十六はこう話していたそうです。

 

「実年者は、今どきの若い者などということを絶対に言うな。

なぜなら、われわれ実年者が若かった時に同じことを言われたはずだ。

今どきの若者は全くしょうがない、年長者に対して礼儀を知らぬ、道で会っても挨拶もしない、いったい日本はどうなるのだ、などと言われたものだ。

その若者が、こうして年を取ったまでだ。

だから、実年者は若者が何をしたか、などと言うな。

何ができるか、とその可能性を発見してやってくれ。」(※)

 

※BEST TiMES「あの名言の裏側 第5回 山本五十六編」

 

やはりいつの時代にも若者は叩かれるのです。最近の若者だけが何か変わっているわけではないということです。

 

「何をしたか」よりも「何ができるか」。自分に対しても他人に対しても、そう前向きに考えてみることが大事なのだと思います。

 

 

郭 樟吾

脳神経外科東横浜病院 副院長

 

 

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医師
脳神経外科東横浜病院 副院長 

2001年、東京慈恵会医科大学を卒業、2005年、厚木市立病院勤務。
その後、独立行政法人国立病院機構横浜医療センター勤務を経て2012年、東京慈恵会医科大学脳神経外科学講座助教。
2015年、同大学同講座 講師・診療医長。2018年、医療法人社団のう救会 脳神経外科東横浜病院 副院長になる。

著者紹介

連載脳神経外科医が優しく教える、人生を成功に導く「しくじり」のすすめ

人生を成功に導く「しくじり」のススメ

人生を成功に導く「しくじり」のススメ

郭 樟吾

幻冬舎メディアコンサルティング

イライラを家族や友人にぶつけて雰囲気を悪くしてしまった、試験やプレゼンの準備が不十分なまま当日を迎えて慌てることになった、など日常での小さな失敗は誰にでも起こり得ることです。 失敗と聞くとネガティブなイメージが…

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