※画像はイメージです/PIXTA

新型コロナのオミクロン株流行で、感染者数が急増しているニュージーランドですが、政府の慎重な対策のもと入国規制が緩和され、明るい兆しも見えてきました。不動産市場は活況ですが、市場予測の独特な言い回しに振り回され、買い時を逃す人も増えています。不動産エージェントとして活躍する筆者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。※本記事は、2022年3月7日現在の情報に基づいて執筆されています。

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    「不動産価格が下がる=相場より安くなる」ではない!

    データは確かに大切です。投資や自宅購入にあたっては、そのときどきのホットな経済環境を把握することが、重要な判断材料になります。

     

    しかし、「昨年より何%増加した・減少した」「価格は上がるだろう・下がるだろう」という予想ばかり気にしてはいけません。なぜなら、物件ごとに状況が異なるからです。いくら世間で「物件が値上がりしている」といわれていても、家の質や管理が伴っていなければ、高値はつきません。

     

    また、経済の悪化や住宅ローン融資が受けにくくなることから、この先、不動産価格が下がるだろうと期待し、購入時期を延ばす方もいますが、この場合の「価格が下がる」は、純粋な値下がりという意味での「価格が下がる」とは、意味合いが異なります。「以前のようにオークションで競い合って高値が出ないため、価格が下がる」という表現が正しいでしょう。

     

    たとえば、相場が150万NZドルの家があったとします。その家の価格が、今後130万NZドルに下がるということはほぼ考えられません。市場が活発なときは、この価格が160万、170万NZドルと上がることも多々あります。しかし、景気が低迷しているといわれているときは、本来の相場と同等か、155万NZドル規模に「価格が下がる」のです。そのため、相場である150万NZドルから、145万~140NZ万ドル台まで「価格が下がる」ことは、あまり期待できません。

     

    このように、ひとことで「価格が下がる」と言ってしまうと、本来の相場価格よりも値下がりする、と期待してしまう方は少なくありません。

    購入を延期した買い手の「残念な結末」

    昨年下期、マイホームの購入を計画されていた方にいろいろ物件な物件をご案内し、オークションにも参加してもらいました。その方はローンの査定も受け、ある程度買える状況にまで達していました。

     

    しかし、来年は不動産価格が下がるだろう、というデータを基にした予想を聞き「慌てていま買わなくても、年を越してから探した方がいいのでは?」と元の価格よりも値が下がるほうの「価格が下がる」を期待し、その方は年内の購入を取り止めてしまいました。

     

    筆者は「この物件はいい物件です。いまならこの値段で買えますが、もしこれを逃すと同等レベルの物件はもうこの値段では出てこないかも…」と説得し、あの手この手で情報を提供しましたが、軽くスルーされてしまいました。

     

    今年に入ってから再度案内すると、「価格が下がる」はその方が考えていた「価格が下がる」ではありませんでした。年末に検討していた物件よりも条件が悪い物件が、検討していた物件よりも高い価格でオークションが成立している現実を見て、ファーストホーム購入は諦め、お金を貯めて出直す…という結果になってしまいました。これは、自分のことのように残念でした。

     

    このような結果になってしまった買い手の方は複数いて、現在でもサポートを続けています。さて、どこで決心し、マイホームを購入するのか…。

     

    なにも考えず、といえば語弊がありますが、「いま買おう!」とすぐに決断された方、「もう少し待ったら下がるかもしれないけれど、いまのうちに選んで買っておこう」と決心された方は、価格が下がることを待った方よりも、結果的に10万NZドルほど安く物件を購入することができました。

     

    バブルがはじける、という現象がこの地では起こっていませんので、ご自身の資金繰りの準備ができたら、すぐに実行に移す、がニュージーランドでの不動産購入のカギとなるでしょう。

     

     

    一色 良子
    ニュージーランド在住不動産エージェント

     

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