結局「寄与分」はいくら認められるか?税理士がケース別に解説 ※画像はイメージです/PIXTA

相続では、事業を手伝ったり療養看護に努めたりといった、被相続人に対する貢献を相続に反映させるかどうかで争われることがよくあります。被相続人に対する貢献のうち財産を維持または増加させたものについては、「寄与分」として相続財産に上乗せすることが認められます。では、「どのようなとき」に「どれくらいの金額を寄与分としてもらえる」のか、その考え方をみていきましょう。

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そもそも寄与分とは?

特定の相続人が被相続人の財産の維持または増加に特別な貢献をしたとき、その貢献の度合いを金額に換算したものを「寄与分」といいます。

 

寄与分がいくらになるかは、相続人どうしの話し合い(遺産分割協議)で定めます。被相続人のために支出した金額が明らかであればその金額が寄与分となります。事業を手伝った場合や療養看護に努めた場合などは、貢献の度合いと期間を考慮して金額を定めます。

 

特定の相続人の寄与分を認めることは、他の相続人にとっては自分の相続分が減ることになるため、遺産分割協議では合意に至らないこともあります。そのときは、家庭裁判所に調停を申し立てて解決を図ります。

寄与分が認められる場合は民法で明確に定められている

遺産は原則として法定相続分で分け合うことになっています。寄与分は法定相続分の例外という位置づけから、どのような場合に寄与分が認められるかは、民法第904条の2で規定されています。

 

民法第904条の2

共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

 

出所:民法|第九百四条の二(寄与分)

 

寄与分が認められる5つの行為

民法第904条の2の「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法」は、次のように分類することができます。

 

  • 事業従事型:(例)被相続人が行う事業を手伝った
  • 財産出資型:(例)被相続人の借金の肩代わりをした
  • 療養看護型:(例)被相続人を介護した
  • 扶養型:(例)被相続人の生活の援助をした
  • 財産管理型:(例)被相続人が保有する資産の売却を手伝った

 

これらの行為は、無償もしくはそれに近い状態で行われていることが基本となります。事業を手伝ったといっても、給与を受け取っていたのであれば寄与分は認められません。

 

「特別の寄与」が必要

民法第904条の2ではさらに「被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」ことが求められています。したがって、寄与分が認められる行為があっても、結果として被相続人の財産の維持または増加に寄与していない場合は寄与分が認められません。

 

「特別の寄与」とは、通常期待される程度を超える貢献をさします。事業を行っている夫に代わって妻が家事を担ったり、年老いた両親に仕送りしたりといった行為は通常期待される程度の貢献であり、寄与分は認められません。被相続人の介護に専念するために仕事を辞めた場合であれば、寄与分が認められる可能性が高くなります。

 

法的な婚姻関係にない妻(夫)や、いとこ、血縁関係のない人など法定相続人でない人は寄与分を主張することができません。たとえば長男の妻が被相続人の療養看護をすることは実際にはよくあることですが、長男の妻は法定相続人ではないため寄与分は主張できません。そのときは法定相続人である長男が寄与分を主張することができます。

相続税を専門に取り扱う珍しい税理士事務所。年間1,500件(累計7,000件以上)を超える相続税申告実績は税理士業界でもトップクラスを誇り、中小企業オーナー、医師、地主、会社役員、資産家の顧客層を中心に、低価格で質の高い相続税申告サービスやオーダーメイドの生前対策提案等を行なっている。各種メディアやマスコミから取材実績多数有り(※写真は代表社員 荒巻善宏氏)。

税理士法人チェスター http://chester-tax.com

著者紹介

連載専門の税理士が解説~すぐに役立つ「相続税対策」実践講座

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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