「配偶者居住権」が設定された家…固定資産税は誰が払うのか【司法書士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

配偶者が亡くなったあとも自宅に住み続けることを可能にする「配偶者居住権」ですが、設定するにあたり、いくつか注意点があります。よくある質問とその回答を紹介します。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が解説します。

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共有の不動産にも配偶者居住権は設定できますか?

 相談内容 

 

配偶者居住権について疑問があります。自宅不動産が共有名義になっているケースもあると思いますが、そのような不動産にも配偶者居住権は設定できるものなのでしょうか?

 

 回 答 

 

建物が共有である場合、配偶者居住権は設定できないと解するのが相当です。配偶者居住権は「建物に居住する権利」ですから、他人の権利が存する共有不動産の建物には設定できないと考えられます。

 

第249条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

 

ある不動産がAさんとBさんのそれぞれ2分の1の共有だったとして、AさんもBさんも自由に持分を売ることができます。

 

相続が発生した際、建物全体に配偶者居住権を認めてしまうと、持分を自由な処分を害することになりますので、問題が生じます。

 

一方で、亡くなった被相続人と、配偶者との共有の場合はどうでしょうか。

 

ある建物が夫婦の共有だったとして、夫が亡くなり、被相続人となり、遺産分割協議で妻が配偶者居住権については、他人の権利を害さないので、配偶者居住権は成立しうると解するのが相当と考えます。

 

この場合、相続人である「共有者」は妻自身ですから、何の不利益もないと考えられるからです。

配偶者居住権が設定された家の固定資産税、誰が払う?

 相談内容 

 

相続登記のあと、所有者とは異なる人の配偶者居住権が設定された場合、居住建物の固定資産税はいったい誰が払うのですか?

 

 回 答 

 

固定資産税の納税義務者は、原則として所有者ですので、配偶者居住権が設定されても所有者が固定資産税を負担します。

 

改正後の民法1034条1項 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。

 

ただし、改正法では居住建物の「通常の必要費」は配偶者が負担すると規定しており、固定資産税も「通常の必要費」に含まれると考えられます。

 

よって、建物の所有者は、固定資産税を払った場合には配偶者に請求でき、結果的に相続した配偶者が負担することになります。

 

一方、土地についての固定資産税の支払いはどうでしょうか。

 

土地についても相続が発生していたとしたら、土地の固定資産税の支払義務は、所有者となった相続人が負担します。

 

横浜などの都市部の場合、土地のほうが固定資産税の負担が高いのが通常ですので、土地を相続した相続人の負担は大きくなることが予想されます。

 

遺産分割協議と同時に、固定資産税の負担などの割合や約束なども決めておいたほうがいいかもしれません。

相続発生時、配偶者が老人ホームに入居していたら?

 相談内容 

 

被相続人が死亡したときに、配偶者が老人ホームに入居していた場合でも配偶者居住権は設定できますか?

 

 回 答 

 

配偶者の生活の本拠が自宅から老人ホームに移っていた場合には設定できませんが、ショートステイや入院のみの場合には設定できると考えられます。

 

 

近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

 

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司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

司法書士法人近藤事務所ウェブサイト:http://www.yokohama-isan.com/
孤独死110番:http://www.yokohama-isan.com/kodokushi

横浜市出身。横浜国立大学経営学部卒業。平成26年横浜市で司法書士事務所開設。平成30年に司法書士法人近藤事務所に法人化。

取扱い業務は相続全般、ベンチャー企業の商業登記法務など。相続分野では「孤独死」や「独居死」などで、空き家となってしまう不動産の取扱いが年々増加している事から「孤独死110番」を開設し、相談にあたっている。

著者紹介

連載現場第一主義の司法書士がレクチャーする「相続まめ知識」

本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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