(※画像はイメージです/PIXTA)

「塾なし」高校受験という目標に向かって家族で頑張った体験は、一生に数回あるかないかのとても貴重な体験になります。大きなプロジェクトをやり遂げた達成感を、家族みんなで共有できる機会は、人生で恐らくそう多くはないでしょう。「塾なし」高校受験はどのようなメリットがあるのでしょうか。塾なしで長男を志望校に入学させた塚松美穂氏の著書『「塾なし」高校受験のススメ』(プレジデント社)で明らかにします。

「自考する力」は社会に出てからも必要

■メリットその②子どもに『本物の学ぶ力』がつく、絶対的に成長する

 

「学ぶ力=学力」とはいったい何でしょうか?

 

まず、成績と学力の違いを考えてみましょう。

 

通知表や偏差値などで表示されるのは、子どもの成績です。テストや課題、授業態度などから学校の先生が評価するのが通知表の成績。模試を受けて、その結果から数値化されるのが偏差値です。

 

では、学力とはいったい何でしょうか?

 

「学校教育基本法」などで文科省が定義している学力の三要素は、

 

①基礎的・基本的な知識・技能。
②知識・技能を活用し、自ら考え、判断し、表現する力。
③主体的に学習に取り組む意欲。

 

とあり、「学力」という言葉は、法律で定義されています。

 

学力ほか生きる力

 

成績は、学力に含まれる一部でしかありません。要するに学力とは、人間性や体力と同様に、「続いていく人生において、学んだことをうまく使い、幸せに生きていくための力」ということになります。

 

そして、この生きていく力は、同じ受験生なら、圧倒的に塾なし受験をすることによって養われると考えています。

 

ではなぜ、塾なし受験で、本物の学ぶ力がつくのでしょうか。

 

理由は、自分で考えるからです。どうすれば目標を達成できるか考える。そのために何をすべきか考える。自分の実力を分析して対策を考える。このように自分自身で考えながら、合格までの道のりを歩いていくからで、本物の学ぶ力はこうして培われていくのです。

 

プラン ➡ 計画を立てる。対策を立てる。
ドゥ ➡ 勉強する。模試を受ける。
チェック ➡ 自己分析、実力分析、結果分析をする。
アクション ➡ 計画や対策を見直す、立て直す。

 

「塾なし」受験のPDCAサイクル

 

これらの要素が、塾なし受験計画を進める中で必要、かつ自然に行われていきます。

 

自らの行動(受験勉強)は、自分で考えた方法や選択とリンクしている。つまり、自分で考えてやっている。「自考する」、これがポイントなのです。

 

塾で大人から与えられた課題をこなして力をつけていくよりも、自分で必要なことを考え、選び取って力をつけていくほうが、本当の学力=生きていく力がつく、というわけです。

 

①具体的な方法やプロセスを、段階的に自分の頭で考えていくことによって、目標を達成するためにどうすればいいのか、考えつつ進める体験をしている。
②自分で考えるということは、なぜ、この勉強が今の自分にとって必要なのか、その理由を理解しながら勉強している。

 

自分で考える力は、塾の先生が作ったカリキュラムを、言われるがままやっていても身につきません。反対に、塾なし受験を乗り越えた子どもは、自然とその力が身についてくるというわけです。そしてこの自考する力は、社会に出てからも必要となる力なのです。

 

次ページ「塾なし」高校受験で家族の絆が強まった

※本連載は塚松美穂氏の著書『「塾なし」高校受験のススメ』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「塾なし」高校受験のススメ

「塾なし」高校受験のススメ

塚松 美穂

プレジデント社

たくさんの習い事に、塾を掛け持ちしている小学生。中学生になれば、学習塾にいくのが当たり前の世の中で、周りを見れば塾通いのクラスメートばかり。「塾にいかないと子どもたちは希望する進路に進めないのだろうか」という疑…

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