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岸田総理は本気か?「所得倍増」の現実味
令和3年9月29日、自由民主党の総裁選で、岸田文雄氏が勝利し、新総裁となりました。その岸田氏は、総裁選挙にあたって政権構想「岸田ビジョン」を公表し、そのなかの一番の柱として、令和版「所得倍増」計画をぶち上げました。
この岸田新総理の計画は、本連載でお話ししようと思っていたメインのメッセージそのものといえるプランでした。
そもそもこの岸田氏のビジョンは要するに、「私が自民党総裁になれば、たとえば所得が200万円の人は400万円に、所得が500万円の人は1000万円になるような経済対策を行うことをお約束します!」というお話だったからです。
逆にいうなら、私たち日本人がここ10年、20年、ずっと持ち続けてきた「おカネ持ちになれない」ということについての不満をしっかりと感じ取った政治家・岸田文雄が、その不満を解消するためにぶち上げたものこそが、令和版の「所得倍増」計画だったからです。
それを高らかに宣言し、その甲斐あって総理に指名されたのが岸田新総理なのですから、当然ながら岸田氏は今、私たちの所得を「2倍」にする政治的責任を負っているわけです。
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しかし……果たして岸田総理は本当に、私たちの所得の倍増を、達成できるのでしょうか?
本連載をとりまとめてきた僕の立場から冷静に申し上げるなら、その答えは「Yes」であり、「No」であると考えています。
つまり、「岸田総理が、日本経済が今まで成長しなかったメカニズムをしっかりと理解し、その上で適切な対策を行えば、確実に達成できる。しかし、それを行わなければ、達成できない」といわざるを得ないわけです。
それではいったい、「適切な対策」とは何なのでしょうか?
指標として、私たち日本がかつて行った「昭和版」の所得倍増計画を振り返ってみましょう。
かつて行われた「所得倍増計画」とは、昭和35年(1960年)に池田勇人内閣が掲げた長期経済政策です。池田首相は10年間で国民所得を2倍にすると宣言し、さまざまな経済対策を行いました。そしてその結果、当初の目標である「10年」より遙かに早くたった「7年」で日本の国民一人当たりの実質国民所得は2倍の水準に達したのでした。