池田勇人が行った「所得倍増」の経済対策
そのとき、池田勇人首相が行った経済対策は、
・減税
・社会保障
・公共投資
の3本柱でした。これはつまり、池田首相は「しっかりと政府がおカネを使えば、国民経済は成長し、所得は早晩2倍になる」と考えていたことを意味します。そして池田首相はそれをきっちり実行し、予定通りに国民の所得を倍増させたのです。
もちろん、令和の時代と昭和の時代では、時代背景が全然違います。かつては人口がどんどん増えていく時代でしたが、今や人口が減少していく時代に突入しています。
あるいは、かつては、今日ほどグローバリズムも進行していなかったし、ITやAIなんていうテクノロジーもありませんでした。だから、令和のこの時代には、かつての時代と違った全く新しい対策が必要だ、と認識している方も多いだろうと思います。
ですが時代がどれだけ変わろうと、おカネが世の中を回らなければ、みんなが貧乏なままであるという事実は何も変わりません。そして、政府が社会保障や公共投資にしっかりおカネを使えば、世間におカネがぐるぐる回るようになってみんながおカネ持ちになるということも、時代を問わず真実です。さらには、すべての消費に対して税金を取り立てる消費税を増税すれば、おカネのめぐりが悪くなるのもまた、当然の話です。
だから、公共投資の中身をいったい何にするのが適当なのかとか、現代の家族構成に合った社会保障の仕組みとはいったい何なのかということは、池田総理の時代からは変わっているとしても、おカネが回る基本的なメカニズムそのものは何も変わらないのです。それは、北海道でも九州でもアメリカでも中国でも、どこでも、「水は高い所から低い所に流れる」というような話と同じなのです。
だとすると、「今、ほとんどの日本人がおカネ持ちになれない」という現実があるのも、結局は、おカネが世の中をぐるぐる回っていないということが原因なのです。そして、そうなってしまっているのは、政府がどんどん消費税を上げていく一方で、社会保障や公共投資を増やしていかないどころかむしろ削っていくことが根本的な原因なのです。
その事実を、昭和、平成、令和の日本経済についてのさまざまなお話を紹介しながら、経済について大学などで系統だって学んだことがない方でもわかるように、対話形式でとりまとめたものが本連載です。
なぜ私たちのほとんどが、お金持ちになれないのか――この真実のメカニズムをしっかりと理解することなくして、岸田新総理の「令和の所得倍増」など達成できるはずもありません。
ついては、1人でも多くの日本国民にお読みいただきたいと同時に、まさに令和の所得倍増計画を打ち上げた岸田新総理にこそ、お読みいただきたい記事として公開するものです。
肩の力を抜いてリラックスして、なぜ私たち日本人の9割が、お金持ちになれないのか、そして、本当に「所得倍増」を実現するには何が必要なのかを、ゆっくりと、そしてじっくりとお読みいただければ大変うれしく思います。
藤井 聡
京都大学大学院工学研究科教授 元内閣官房参与
木村 博美
フリーランスライター
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