(※写真はイメージです/PIXTA)

中小企業が成長を続けるには、社内の連携やチームワークが重要です。しかし、判断を誤ると、経営者の思惑から外れた残念な結果になってしまいます。ここでは、「悪しき平等主義」に基づいて運営された組織が陥りがちな問題に言及します。中小企業コンサルのプロフェッショナルが解説します。

「既存メンバーより好待遇での採用活動」という悪手

最も多い悪手のパターンは、何とか優秀な人材を確保するために、既存のメンバーよりもさらに高い処遇を用意してしまうことです。そうしなければ良い人材を得られないので、会社としては苦渋の決断をするわけです。

 

しかし、この決断が状況をさらに悪化させることになります。このときにも主な阻害要因となるのはイエスマンで、好処遇で入ってきた人材に対して、非常に厳しい「お手並み拝見」のスタンスを取ります。前向きな変革の提案に対して反対したり、必要な協力をしなかったりという具合です。

 

典型的な例が、「ウチはそういうルールじゃないから」という反応です。本来であれば、そのルール自体を見直す必要があるべきところ、旧態依然としたルールを盾に取りながら、頑張ろうという気持ちに燃えている人の心を折っていくわけです。

 

このときイエスマンの側には、明確な悪意はありません。自分たちがこうした対応をすることによって、組織や部下を「外敵」から守る。イエスマンにはずっとやってきたプライドもあるので、そのような合理化を無意識のうちに重ねつつ、善意に満ちた対応をしていると、少なくとも自分のなかでは確信しているわけです。

 

これらの対応が繰り返されることによって、中途採用で入ってきた優秀な人材の心にも大きな変化が生じてしまいます。そのほとんどが、悪い意味での変化です。

 

批判されるなら改善に向けた提案などやめてしまおう。それでも給料は変わらないのだから。どうせなら自分も楽をしてお金だけもらってやろう。正義感の強い人はほとんどが去っていきますが、経験的には易きに流れて手を抜きながら、会社に残り続ける人が多いと感じます。

 

このようにして、高コスト体質の組織が生まれることになります。厳しい言い方をすれば、非常に質の悪い「ぶら下がり組織」が出来上がってしまうわけです。

 

さらにひどい場合には、高い処遇の中途入社組に近づける形で既存社員の処遇を見直し、処遇は高く、能力は低い組織を実現してしまう場合もあります。そうなると踊り場どころか、会社は低迷に向けての一歩を踏み出すことになります。組織のなかから不満は消えますが、能力もやる気もない社員ばかりが残ってしまい、組織のダメージはさらに深くなります。

 

なお、ごくまれにではありますがシビアな「お手並み拝見」の包囲網をくぐり抜けて、自身のやり方を貫こうとする人がいます。ですが、こうした人はそもそも他人の意見にはいっさい耳を傾けない素養をもっている場合が多く、「悪しき平等主義」とは別の意味で、組織が大きく混乱することになります。もちろん一概に決めつけることはできませんが、経歴の割に転職経験が多い人に、この傾向が強いといえます。

 

誰にとってもお金の問題は重要であるため、「悪しき平等主義」が危機的に悪化すると、中小企業が抱える問題の根はどんどん深く複雑になっていきます。こうしたつながりを意識することも、非常に重要なポイントです。

 

 

株式会社ココチカ
代表取締役社長 山中 一浩

 

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本記事は、山中一浩著『驚くほど業績が上がる 中小企業のための「コンサルティング」活用術』(GMC)を抜粋・再編集したものです。

驚くほど業績が上がる 中小企業のための「コンサルティング」活用術

驚くほど業績が上がる 中小企業のための「コンサルティング」活用術

山中 一浩

幻冬舎MC

会社を成長させるには、販売網や顧客基盤の拡大、事業の多角化、また優秀な人材の確保と定着など、さまざまな課題を解決していくことが必要です。 特に中堅・中小企業では、経営者自らが先頭に立って、業績向上の取り組みを…

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