(画像はイメージです/PIXTA)

2022年3月5日より開幕する中国全人代。ここで知っておきたい中国経済について、香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏が「不動産市況」「新型コロナの影響」「環境政策」「金融政策」「米中対立」、あらゆる面から解説していきます。

■環境政策

 

中国も長期的には環境問題に取り組まなければいけないことに、鮮明なスタンスをとっています。

 

ひとつ、中国のすごくいいと思う点は、中央政府がひとたび「シフトする」と宣言すると、一気にシフトが進むことです。香港の隣の深圳(シンセン)では、公共バスが全て電気バスに置き換わっています。以前は廃ガスでたまらないな…と思わせた町が、中央政府の宣言から2年ほどで一気に変わってしまったわけです。

 

方向を明確にするとシフトが一気に進む、そんな面白い特徴にも注目したいところです。

 

■農村部の活性化

 

課題としては農村部の活性化が挙げられます。日本の東京一極集中と同じように、「農村から都市へ」の動きが進んでいるため、地方や農村部の活性化に向けた財政政策が進められています。

 

全体としては成長率は下がっていくでしょうが、先ほどの内需シフト、農村部の活性化、環境シフトといった構造改革により、経済を新たな体制へ持っていこうとするはずです。

 

■金融政策

 

12月、中国人民銀行は1年物最優遇貸出金利(ローンプライムレート・LPR)を1年8ヵ月ぶりに引き下げました。1月には2ヵ月連続で1年物を引き下げ、5年物の引き下げも1年9ヵ月ぶりに実施しています。

 

金融市場への資金供給を進めており、昨年は2回、預金準備率の引き下げ措置を取りました。金融緩和を通じた景気支援を狙う動きが見られます。

 

■米中対立

 

バイデン政権になってから人権問題も取り沙汰され、2021年は経済安全保障の中で米中対立が際立った年でした。サプライチェーンにおいてアメリカの「脱中国」が進み、中国は悲願の「半導体の自国生産」を進めている状況です。

 

米中相互の依存度は、今後もかなり下がる動きが続くでしょう。

 

通信やAIなどは、人権問題に絡む技術です。そうした企業へ技術提供をすると、アメリカからサンクション的に非難を受けることが続いていますが、一方でそうした企業にはしっかりとした業績があることも事実です。

 

米中対立が存在すること、そして今までのように市場で自由に活動できないことの難しさはありますが、だからと言って中国企業が成長を阻害されるほどではないでしょう。

 

一方で、中国企業の米国上場は2021年には大幅に減少し、その傾向は続くと考えられます。ただ米国上場は少なくなっても、香港上場などは拡大する可能性が非常に高いと見ています。よって、投資の機会という意味ではそれほど変わらない、むしろ拡大する可能性もあります。

本記事は、幻冬舎ゴールドオンライン公式YouTubeチャンネル「【中国経済アップデート】全人代開幕の中国、“減速感”が強まるか」より書き起こしたものです。

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