■中国国内消費は減少傾向
内需主導を進める中国経済。新型コロナウイルスの対策として、2020~21年にかけて多くの支援策を実施しました。前年比売り上げ高は大きく上がりましたが、現在では落ち着いた動きになってきています。
全体として小売売上高の減少傾向が見て取れ([図表4])、これもGDPの成長率がマイルドになっている要因のひとつと言えます。
■コロナウイルスの感染拡大状況
中国はゼロコロナ政策を取り、かなりタイトな制限をしてきましたが、オミクロン株の感染拡大を防ぎきることはできませんでした。オリンピックは乗り切ったところですが、感染力が強いこともあり新規感染者数は増加しています([図表5])。これも引き続き、かく乱要因として見ておくべきでしょう。
■PMI(購買担当者の景況感指数)
PMIは、政府から支援のあった2021年には一旦持ち直しましたが、感染拡大の2度の山と呼応するかのように下がっている局面があります([図表6])。そして全体的にはなだらかな右肩下がりになっています。こうした要因から、2022年前半はかなり厳しいものになると予想しています。
『共同富裕』社会の実現…中国政府の経済政策
『共同富裕』社会は、懸念されているほどネガティブなものではないでしょう。景気回復と雇用拡大に向けた取り組みを強化しています。
しかし全体へ富を再分配するとなると、爆発的に消費が増えるわけにはいきません。今までのように野放図に、好きなだけ消費できる社会ではなくなっていくと思われます。
■商品市況
世界的に需要が拡大し、コストプッシュインフレになってきています。加えて去年電力不足が露呈しました。今年はかなり巻き返してきてはいますが、また再燃しないとも限りません。さらにゼロコロナ政策も続いていることから、高い成長率を期待するのはどうしても難しいかと言えます。
今後恐らく、中国政府の金融政策は緩和が進むでしょう。ただコストプッシュインフレのなか、表立った金融緩和を継続するのは難しいため、的を絞った金融緩和になるだろうと予想しています。
そしてプライムレートなどは小刻みに下げていき、中小企業の支援をしていく動きになっていくと考えています。