恐ろしい…心不全を引き起こす「身近な心疾患」【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

心不全を引き起こす原因は非常に多く、「あらゆる病気が心不全につながっている」といっても過言ではありません。簡単に説明すると、心不全を引き起こす原因には①心疾患が原因となる場合、②心疾患以外が原因となる場合の2種類があります。ここでは、①心疾患が原因となる場合について詳しく見ていきましょう。心疾患・心臓リハビリの専門医・大堀克己氏が解説します。

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虚血性心疾患 ~動脈硬化の進行などにより起こる

虚血性心疾患とは、心臓の筋肉に酸素や栄養を送る血管(冠動脈)が狭くなったり詰まったりして、心臓に血液が十分行かなくなる病気のことです。血管が狭くなったり詰まったりする原因にはさまざまあり、代表的なものが「動脈硬化」です。

 

動脈硬化とはコレステロールの塊などが粥腫(じゅくしゅ:お粥のような柔らかい塊になった状態のこと)となって血管の壁に溜まり、血液が通りにくくなっていることをいいます。血管は無理に血液を押し出そうとするのでますます硬く分厚くなり、弾力性を失います。

 

虚血性心疾患の原因には加齢もあります。年齢を重ねれば重ねるほど体内の臓器は傷んでいきます。血管も同様で、加齢によって血管が硬くなったりすることが原因となり、虚血性心疾患が起こり得るとされています。

 

虚血性心疾患は、「心臓に血液が行き渡らない病気」の総称であり、具体的には、もっと細かく分類されます。

 

●狭心症

冠動脈の血流が悪くなることで心筋に十分な血液が届かず、胸が痛くなったり呼吸困難になったりする病気です。特徴的な症状が締め付けられるような胸の痛みで、急に前胸部に激しい痛みが起こります。

 

●心筋梗塞

冠動脈の血流が悪くなることで心臓の筋肉である心筋に酸素が届かず、酸素不足になり壊死してしまう病気です。突然激しい胸の痛みに襲われ、突然死の原因にもなります。60代以上の男性に多く発症するとされています。

弁膜症 ~どのタイプでも心不全の発症リスクが高まる

心臓にある弁に障害が起きた状態を「心臓弁膜症」といい、心不全の原因になります。

 

心臓には左右に心房と心室があり、それぞれの部屋が血液で満たされています。部屋から部屋へ血液が逆流しないよう部屋と部屋の間には弁が設けられていますが、なんらかの原因によりこの弁が十分開かなくなったり、閉じなくなったりすることがあります。

 

弁の開きが悪くなって血液の流れが妨げられる状態を「狭窄」といい、一方、弁の閉じ方が不完全なために血流が逆流してしまう状態を「閉鎖不全」といいます。

 

どの弁でどのような障害が起こるかによって、弁膜症は「僧帽弁狭窄症」や「大動脈弁狭窄症」などいくつかの病気に分けられますが、いずれの場合でも心不全を発症する確率が高くなります。

 

特に高齢者に多く見られるのが、「大動脈弁狭窄症」です。これは左心室と大動脈の間にある大動脈弁が硬くなり、一部が石灰化して弁の開きが悪くなるものです。原因は加齢などによる動脈硬化とされています。

 

その他のタイプの弁膜症においても、弁膜症全体の有病率は年齢とともに上がっており、総務省統計局が発表した「人口推計の結果の概要令和2年4月報(令和元年11月確定値)」によれば、日本では、65~74歳で約150万人、75歳以上で約235万人の潜在患者がいると推測されています。

不整脈 ~病気、服薬、生活習慣…要因はさまざま

心臓は、通常規則正しく拍動を繰り返しています。しかし、なんらかの原因によりその拍動が速くなったり、遅くなったり、乱れたりすることがあり、これを不整脈と呼んでいます。

 

不整脈を引き起こす原因にはさまざまあり、心筋梗塞や心筋症など心臓そのものに病気がある場合、甲状腺ホルモンや自律神経の活動などに異常がある場合、さらには服用している薬の副作用による場合などでも生じます。

 

また、原因不明で不整脈が起こることもありますし、高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病、喫煙、アルコールの飲み過ぎ、精神的ストレス、睡眠時無呼吸症候群など、心臓に負担を掛けるさまざまな要因が掛け合わさって不整脈を起こすことも少なくありません。

 

拍動が不規則になると心臓の血液を送り出す力が落ちてしまうため、息苦しさやめまい、動悸、胸痛などの自覚症状が出たり、失神を起こしたり、時には突然死に至ることもあります。

心筋症 ~特に心不全を起こしやすいのは「拡張型」

心臓の筋肉(心筋)に異常が起こり、心機能が低下してしまう病気のことを心筋症といいます。異常の種類により、「拡張型」「肥大型」「拘束型」がありますが、なかでも心不全を起こしやすいのは拡張型です。

 

拡張型心筋症とは心臓の筋肉が薄くなって拡張し、収縮力が低下する病気です。厚生労働省により特定疾患(難病)に認定されています。収縮力が低下するため全身に血液を送り出すことが不十分になり、その結果心不全を引き起こすリスクが高くなります。

 

拡張型心筋症が起こる原因は基本的に不明です。今のところ遺伝子異常を背景として、炎症や自己免疫異常が契機となり、発症すると考えられています。そのほかにウイルス感染症や遺伝的要因もいわれています。病的な肥満のほか、糖尿病や甲状腺疾患など、特定の慢性内分泌疾患では拡張型心筋症とよく似た病態になり、二次性心筋症といわれています。

先天性心疾患 ~およそ100人に1人がもつ

生まれつき心臓や血管の構造に異常があることを「先天性心疾患」といいます。ひとくちに先天性心疾患といっても病気の種類は非常に多く、疾患の重症度や症状が現れる時期、症状の現れ方などはそれぞれ人によって異なります。およそ100人に1人、年間1万人の赤ちゃんが先天性心疾患をもって生まれており、子どもの頃から心不全を発症することがあります。

 

 

大堀 克己

社会医療法人北海道循環器病院 理事長

 

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社会医療法人北海道循環器病院 理事長 日本胸部外科学会指導医
日本外科学会認定医
日本医師会認定産業医

1968年、札幌医科大学胸部外科(現心臓血管外科)に所属して以来、今日まで一貫して心臓血管系と呼吸器の疾患に対する外科療法に携わり、現在はドイツのハンブルク心臓リハビリテーション協会と連携しつつ虚血性心疾患に対する心臓リハビリテーションに取り組んでいる。

著者紹介

連載心不全に負けない完全治療マニュアル

本記事は、大堀克己著『心不全と診断されたら最初に読む本』(幻冬舎MC)を抜粋・再編集したものです。

心不全と診断されたら最初に読む本

心不全と診断されたら最初に読む本

大堀 克己

幻冬舎メディアコンサルティング

心不全と診断されても諦めてはいけない! 一生「心臓機能」を維持するためのリハビリテーションと再発予防策とは? “心疾患・心臓リハビリ”の専門医が、押さえておきたい最新の治療とリハビリテーションを解説します。

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