心疾患だけではない…「心不全につながる病気」の怖い共通点【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「心不全」とは心機能が低下した状態をさす病気です。心不全を引き起こす原因は多岐にわたり、もはや「あらゆる病気が心不全につながっている」といっても過言ではありません。簡単に説明すると、心不全を引き起こす原因には①心疾患が原因となる場合、②心疾患以外が原因となる場合の2種類があります。ここでは後者について詳しく見ていきましょう。心疾患・心臓リハビリの専門医・大堀克己氏が解説します。

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心機能を低下させる「心疾患以外の病気」

心臓そのものの病気ではなく、心疾患以外の要素が原因となって心不全を起こすこともあります。高血圧もその一つですが、ほかにも高血圧と同じく生活習慣病の代表格とされる糖尿病や脂質異常症も、心不全と深い関わりをもっています。

 

糖尿病とは血糖値が高い状態が続く病気です。通常は内服薬や注射などで血糖値をコントロールしますが、このコントロールがうまくいかず血糖値が高い状態が続いてしまうと、心不全を合併する頻度が高まることが分かっています。

 

なぜ糖尿病が心不全を引き起こすかというと、糖尿病は動脈硬化の大きなリスク要因となるからです。

 

血糖値のコントロールがうまくできていない状態が続くと血液にたくさんの糖分が含まれている状態が続くため、砂糖水のようにドロドロの血液が血管壁にべっとりと張り付きます。すると血管の壁に張り付いた糖分と血管壁のたんぱく質が化学反応を起こし、血管が傷つきやすくなったり硬くなったりします。そのため脳や心臓など全身の血管で動脈硬化が進んでいき、心不全を起こしやすくなってしまいます。

 

また、糖尿病になると腎臓の働きも衰えます。腎臓はいわば細い血管の塊ですから、そこを流れる血液が糖をたっぷり含んでドロドロしていると、腎臓の血管が硬くなったり詰まったりするため、動脈硬化を起こして働きが悪くなってしまうのです。

 

腎臓は汚れた血液をろ過し尿を作る臓器であり、この働きが鈍くなると体内に余分な水分が溜まってしまいます。血液のうち液体部分は水分を原料として作られますから、体内の水分量が過剰に増加すれば血液量が増えることになり、心臓にさらに負担が掛かってしまいます。その結果心臓のポンプ機能が弱まり十分な量の血液を全身に送れなくなって、血液が届かない臓器に障害が起こってしまいます。

「動脈硬化を引き起こしやすい病気」という共通点

こうして見ると高血圧や糖尿病など、心臓の病気以外で心不全のリスクとなっているものには、一つの共通点があることが分かります。

 

それは「動脈硬化を引き起こしやすい」ということです。

 

血管を硬くしたり詰まらせたりする動脈硬化は心臓へ負担を掛ける元凶となり、心不全の非常に大きなリスクです。つまり、「動脈硬化を引き起こすリスクが高い=心不全を招くリスクが高い」といえるのです。

 

そう考えると、高血圧、糖尿病とともに生活習慣病の代表格とされる肥満や脂質異常症も、心不全の大きなリスクになることが分かります。

 

脂質異常症とは、中性脂肪やLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)などの脂質代謝に異常が起きている状態のことです。特に悪玉コレステロールの値が高いと血液がドロドロの状態となって、動脈硬化が進みます。その結果、脳梗塞、心筋梗塞、心不全などを招きやすくなるのです。

 

肥満の人の場合も同様です。肥満の人はそもそも脂質異常症や糖尿病を発症している可能性が高く、これらの生活習慣病が複数重なるとますます動脈硬化が進行しやすくなります。

 

また肥満の人はそうでない人に比べて体が大きいため、より多くの酸素や栄養分を全身に届けなくてはなりません。そのため心臓への負担が大きくなり、心不全を招きやすくなります。

まだまだある…心臓に負担を掛ける“心疾患以外の要因”

さらに心疾患以外で心不全を引き起こす要因として、甲状腺機能亢進症・低下症があります。

 

甲状腺とは、喉仏の左右にある数cmほどの臓器であり、ちょうど蝶が羽を広げたような形をしています。ここから分泌される甲状腺ホルモンは全身の代謝を助けたり、成長を促したりする働きを担っています。甲状腺ホルモンが分泌され過ぎてしまう病気を甲状腺機能亢進症、分泌が足りない状態を甲状腺機能低下症と呼びますが、いずれの場合も心不全の原因となることが分かっています。

 

というのも、甲状腺機能が亢進し過ぎると心臓が過大に働いたり、心房細動などの不整脈が合併したり、脈拍が速くなったりして、心臓に負担が掛かります。反対に、甲状腺機能が低下すると脈拍が低下したり心臓の収縮力が落ちたりして心機能が弱まります。また、甲状腺機能低下症は動脈硬化の原因にもなり、狭心症や心筋梗塞のリスクになります。

 

そのほかにも心臓に負担を掛けて心不全のリスクになるものとして、薬物の多用、化学物質の過剰摂取、アルコールの取り過ぎ、運動のやり過ぎ、ストレス、貧血、栄養障害などがあります。これらに心当たりがある人は生活習慣を振り返り、心臓に負担を掛ける習慣を改めることが必要です。

 

 

大堀 克己

社会医療法人北海道循環器病院 理事長

 

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社会医療法人北海道循環器病院 理事長 日本胸部外科学会指導医
日本外科学会認定医
日本医師会認定産業医

1968年、札幌医科大学胸部外科(現心臓血管外科)に所属して以来、今日まで一貫して心臓血管系と呼吸器の疾患に対する外科療法に携わり、現在はドイツのハンブルク心臓リハビリテーション協会と連携しつつ虚血性心疾患に対する心臓リハビリテーションに取り組んでいる。

著者紹介

連載心不全に負けない完全治療マニュアル

本記事は、大堀克己著『心不全と診断されたら最初に読む本』(幻冬舎MC)を抜粋・再編集したものです。

心不全と診断されたら最初に読む本

心不全と診断されたら最初に読む本

大堀 克己

幻冬舎メディアコンサルティング

心不全と診断されても諦めてはいけない! 一生「心臓機能」を維持するためのリハビリテーションと再発予防策とは? “心疾患・心臓リハビリ”の専門医が、押さえておきたい最新の治療とリハビリテーションを解説します。

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