Q. 心臓病を予防するサプリメントはありますか?
■「心臓病を予防する効果をもつサプリメントは存在しない」と判明
普段の健康管理や健康増進のため、サプリメントを愛用している人は多いです。しかし残念ながら、「心臓病を予防する効果をもつサプリメントは存在しない」ということを、米国予防医療作業部会(USPSTF)は明らかにしています。USPSTFは、最大で7万2000人以上を対象に10年以上追跡調査を行い、β−カロチン、亜鉛、鉄、マグネシウム、ナイアシン、カルシウム、ビタミンB、ビタミンDなどのサプリメントの利用と心臓病による死亡率との関連を調査しました。その結果、サプリメントを服用した人は服用しなかった人に比べ、心臓病の発症率や死亡率に差がないことが判明したということです。
■サプリメント以上に「日々の食事内容」が大切
だからといって、β-カロチン、亜鉛、鉄などの栄養素が、心臓病予防をはじめ健康維持にまったく役割を果たさないということではありません。サプリメントに頼ることよりも、日々の食事の内容を見直すことが大切であり、優先順位が上だということです。
たいていのサプリメントは1粒に特定の栄養素しか含まれていませんが、食事なら一度のメニューでたくさんの栄養素を取ることができます。毎日の食事に気を付け、バランスのいい食事を心掛ける、それでも不足しがちな栄養素はサプリメントで補う、という意識をもつことが大切です。
Q. 心臓病になり、減塩指導を受けました。減塩がうまくいっているかどうかを確認するには?
■最も簡単な方法は「蓄尿」
最も簡単な方法は、すでに紹介した毎日飲んでいる味噌汁の塩分量を測定するというものがありますが、正確に塩分を取り過ぎていないか確認する方法としては、蓄尿という方法があります。これは1日の尿をすべて溜め、そこに含まれる塩分量を測定するという方法です。もっと簡単に調べたいという場合は、朝起きて2回目の尿だけ測定し、1日の食塩摂取量を推計するという方法もあります。いずれもかかりつけの病院でそうした検査を行っているか、確認してみるとよいと思います。
■「むくみ」や「血圧の上昇」は塩分を摂りすぎているサインかも
それから、もっと簡単な方法として覚えておきたいのが、「むくみや血圧の上昇は、塩分の過剰摂取を示すサインかもしれない」ということです。こうした症状が見られたら、塩分を取り過ぎていないか、振り返ってみたほうがよいです。
Q. 心不全の治療中、「避けたほうがいい運動」はある?
■「歯を食いしばる」「いきむ」「息を止める」ような運動は避ける
例えば、心臓に強い負荷の掛かる運動は避けましょう。「歯をくいしばらなければできない」「いきまなければできない」「息を止めなければできない」というような運動は、いずれも心臓に負担を掛けます。
注意したいのが、「運動負荷心電図で異常がなかった場合」です。運動負荷心電図とは、運動をして、心臓に負荷が掛かったときの心電図をとり、安静時、運動中、運動後で心臓に異常がないか見る検査です。
通常は、エアロバイクのようなエルゴメーターを漕いだり、ルームランナーのようなトレッドミルで走ったりして心電図を測ります。簡易的なものでは、段差の昇降運動を行うことによって心電図の変化を見る方法もありますが、大事なことはこうした検査で「異常なし」と出ても、実際にスポーツを行う際には必ずしも安全とは限らないということです。
エルゴメーターやトレッドミルよりも負荷の高いスポーツをすれば、心臓に異常が起きる可能性もありますし、検査を行うのは短時間ですから長時間にわたって激しい運動をすれば、心臓に変化が見られる場合もあると思います。
心不全を発症した人が心臓リハビリテーションの一環として運動を行う場合は、主治医とよく相談することが必要です。特に高齢者の場合は自分で考える以上に体力や運動機能が落ちていることもありますから、注意しなければなりません。
大堀 克己
社会医療法人北海道循環器病院 理事長
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