Q1. 早朝に胸が痛くなります。狭心症でしょうか?
■“体を動かしていないのに痛む”なら、「異型狭心症」の可能性あり
労作(=体を動かすこと)を伴わず、早朝に胸が痛くなる場合、考えられる原因としては、異型狭心症があります。これは、冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症とも呼ばれており、冠動脈に動脈硬化が起きていないか、軽度にもかかわらず血管が痙攣し、血管の内腔が狭くなって血流が低下する病気です。日本人に多くみられ、喫煙、過呼吸、ストレス、過労、不眠、アルコールの飲み過ぎなどが引き金になります。
特徴は、症状が現れるのが早朝などの決まった時間であるということです。安静時でも「タバコを吸ったとき」「お酒を飲んだとき」など、決まったタイミングで現れることがあります。
■「コップ1杯の水」で痛みが治まれば、「逆流性食道炎」の可能性も
また、早朝に胸が痛む場合は、心臓とは関係がなく、逆流性食道炎が起きている可能性もあります。これは胃の内容物が食道に逆流し、強い酸性の胃液が食道の内壁を刺激するために胸焼けがしたり、胸が重くなったり苦しくなったり、狭心症と似た症状を自覚する病気です。酸っぱいものや苦いもの(呑酸〔どんさん〕)が込み上げてくることもあります。
逆流性食道炎の場合は、コップ1杯の水を飲むと症状がなくなるので、早朝に胸が痛くなったら、水を少し飲みます。もしそれで痛みがなくなれば、逆流性食道炎の可能性が高くなりますが、いずれの場合でも治療が必要になります。
Q2. 心臓病は遺伝するのでしょうか?
■一部の心臓病は遺伝しうるが…
基本的に心臓病は遺伝しない病気ですが、一部の心臓病には遺伝性があります。例えば、肥大型心筋症は家族内発症が多く見られ、近年の研究により、肥大型心筋症の大半に遺伝子異常が見つかっています。
また、不整脈の一部にも遺伝性があることが確認されており、「先天性QT延長症候群」「ブルガダ症候群」「カテコラミン誘発多形性心室頻拍」の発症には、遺伝子変異が関係していることが分かっています。
■「発症するスイッチ」がオンにならなければ大丈夫
そのほか、弁膜症や大動脈疾患のなかにも遺伝性の病気があります。ただし、遺伝子変異があっても、必ずしも全員が病気を発症するわけではありません。遺伝子の変異があっても、そのスイッチをオンにする誘因がなければ、“爆弾”は爆発しないのです。もし、両親や祖父母などの近しい身内に、そうした疾患を発症した人がいる場合は、念のため定期的に心臓ドックを受け、状態をこまめに確認しておくとよいです。
それから心臓病の危険因子として肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症がありますが、これらは家族の病歴も関係しており、そうした病気になりやすい体質は遺伝します。特に同居している家族の場合は、同じ食事を続けるなど生活習慣が似ているため、心臓病に限らず、同様の病気を発症する確率が高くなります。
もちろん、同じ体質をもっているからといって、必ずしも同じ病気を発症するわけではありません。生活習慣や食生活を見直すことで、病気の発症リスクを軽減することは可能です。
大堀 克己
社会医療法人北海道循環器病院 理事長
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