(※写真はイメージです/PIXTA)

いくら経営者が努力しても業績が上がらず、気づけば何年も「踊り場」。競合他社は業績を伸ばしているのに、自社だけが成長軌道に乗れていない。社員が突然辞めていく…。状況を打開するために外部コンサルティングの活用という選択肢がありますが、一方で、いまひとつ活かしきれないという声もあります。そこには、組織改革に伴うジレンマがありました。中小企業コンサルのプロフェッショナルが解説します。

ボトルネックを取り除くことが「正解」とは限らない

ここまで聞くと、

 

「では企画本数を減らしてある程度固定化した企画でオペレーションをしやすくすればいいのではないか?」

 

と思ったかもしれませんが、それは不正解です。

 

もしここで企画本数を減らせばオペレーター業務は簡素化されたかもしれません。しかし企画本数を減らすことは、この旅行企画会社の根幹を揺るがす致命傷につながります。なぜなら、インターネットを中心とした集客を行う同社では、ツアー数の多さこそが集客数の多さにつながっており、競争優位性にもつながっているからです。

 

また、もう一つ重要なポイントは、オペレーション部のボトルネックを改善しても、オペレーション部の品質は上がらず、単に仕事が楽になるだけです。

 

顧客からのクレーム減少には多少貢献するかもしれませんが、そもそも商品力(企画力)を売りにしなければならないはずの同社が、競争の激しい旅行業界で生き残っていくことはできません。

 

このとき、筆者が取った改善策は企画本数を減らすことでもKPIから外すことでもありませんでした。

 

オペレーター業務で起きている問題点を企画側にフィードバックし、少しでもオペレーションしやすい企画にしてもらうこと。

 

オペレーターの強化のために社内教育を充実させること。

 

その教育時間を確保するために、オペレーター部内の会議を減らしたり、人気のない企画の準備時間を減らしたり、企画会議への参加を減らしたりと、オペレーターの時間を確保し、品質向上の取り組みに時間を割いたのです。

組織改革には時間がかかり、成果が見えづらい

しかし、ここまでしても組織改革のコンサルティングは失敗しやすい原因が潜んでいます。組織改革は時間がかかり、かつ成果が見えづらいのです。

 

経営者にとって、ただでさえ売上が伸びず業績不振となっているなかで、組織改革を行ったのであれば、すぐにでも業績が向上してほしいところです。とはいえ、実際は少なくとも数ヵ月、場合によっては半年、1年というスパンで組織改革によって業績が上がるかどうかを見ていく必要があります。

 

多くの経営者もそのことは頭では分かっているものの、日々の売上と睨めっこをしながら、外部のコンサルタントに任せたまま、ずっと改革の行方を見守り続けるというのは精神的に難しいでしょう。この傾向は体力に余裕のない中小企業ほど強いものです。

 

仮に3ヵ月経ったときに組織以外の外部要因によるものだったとしても売上が落ちていたりすると、「やっぱりこのまま任せていてはダメだ」といった心理になって、自ら組織改革に乗り出す、ということもあり得ます。

 

それでうまくいけばいいのですが、そもそも自社で組織改革に取り組んでもうまくいかなかったから外部のコンサルタントに依頼をしたため、やはりうまくいかないのです。

 

体力のある大企業では、コンサルティング会社とは年単位の契約をしているだけでなく、その付き合いも数年にわたって続いています。コンサルティングフィーは年間で、4000万~5000万円ともいわれ、コンサルティング会社からも一人のコンサルタントではなく、チームで派遣されることが多く、ほとんどクライアント企業の社員に近い動きをしています。

 

しかし体力のない中小企業にとって、大手のようなコンサルティング依頼は不可能です。また、どのようにコンサルティングを依頼して、どのように成果を測ればいいのかが分かりづらいのも失敗しやすい原因の一つになっています。

 

 

株式会社ココチカ
代表取締役社長 中山 一浩

 

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本記事は、山中一浩著『驚くほど業績が上がる 中小企業のための「コンサルティング」活用術』(GMC)を抜粋・再編集したものです。

驚くほど業績が上がる 中小企業のための「コンサルティング」活用術

驚くほど業績が上がる 中小企業のための「コンサルティング」活用術

山中 一浩

幻冬舎MC

会社を成長させるには、販売網や顧客基盤の拡大、事業の多角化、また優秀な人材の確保と定着など、さまざまな課題を解決していくことが必要です。 特に中堅・中小企業では、経営者自らが先頭に立って、業績向上の取り組みを…

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