(※写真はイメージです/PIXTA)

会社では日々多様な業務が行われており、優先順位が低いとみなされた仕事は放置され、ひたすら蓄積していきます。中小企業の場合、会計業務はしばしば「後回し」「まとめて」となりがちですが、日々のチェックを怠ると取り返せない損失を被るリスクがあります。それを防ぐには、経営者自身がリーダシップを取り、体制を整えることがなにより重要です。会計士が解説します。

【関連記事】社長の節税の王道「4年落ちの高級外車購入」は本当に得なのか

ちょっと放置すると、記録すべきことが蓄積するので…

会計業務は、スケジュール管理が肝になります。

 

会社では日々取引が行われ、お金が動いていますから、放っておくとどんどん記録すべきことが溜まっていきます。なかには、「税務申告に合わせて、1年に1度、まとめて会計業務をしている」という会社もあると思いますが、これではいくらなんでも遅すぎます。とはいえ、毎日会計を記録するのも最初は大変です。

 

そこで「最低限、月に1度は会計をチェックする」ということが重要になります。毎月、1カ月分の取引などを記録し、チェックできるよう、会計業務をスケジューリングするのが望ましいです。

 

最低限、月に1度会計をチェックしていれば、社内で起きている問題に対して、ほぼタイムリーに対応できます。

 

例えば、売上高と売上原価を比べると、実は損を出している商品が見つかるということが起きがちです。商品は売れているので、一見利益を生んでくれているように思えるのですが、売上の金額を超える売上原価がかかっているので、実は損をしています。

 

こんな取引を見つけたら、すぐに改善しなければいけません。商品の単価を上げるのか、仕入れ値を下げてもらうよう交渉するのか、はたまたその商品の取り扱いをやめてしまうのか。どの方法を取るにせよ、改善が早ければ早いほど、会社が被る損失を抑えることができます。

 

もし、1年に1回だけ会計を見ていたら、問題が解決するまでに、数ヵ月も余計にかかり、そのあいだに起きてしまった損失は取り返しがつきません。

 

というわけで、とにかく「月1回」というスケジュールを意識していただきたいのですが、月に1回チェックをするとなると、遅くとも翌月10日までには会計処理を終える必要があります。

体制の整備は経理担当者任せにせず、社長の行動する

こうした体制を整えるには、社長自らがリーダーシップを発揮する必要があります。経理担当任せは禁物です。

 

会計業務は、経理部門だけでなく、さまざまな部署に関係する話ですから、会社全体として業務フローを見直し、変えるべきことは変えていかなくてはいけません。

 

例えば、「営業担当からの経費精算の連絡が遅いから、会計を締められない」という問題があるなら、営業担当にもスケジュールを意識させる必要があります。会計ソフトと連携できる経費精算ソフトを導入して、営業担当が入力した経費精算の情報を会計ソフトと連携させるような仕組みを取り入れるのも有効です。

 

取引先から請求書が届くのが遅いなど、外部の影響で会計に遅れが生じることもあると思います。この場合、相手に合わせていてはいけません。例えば、「○日までに届かない請求書は、翌月の支払いにする」といったルールを示し、徹底して期限を守らねばなりません。

 

このような取り組みは、すべてタイムリーな経営判断に活かすためです。「月に1回の会計チェック」を意識して、会計業務に取り組むことが重要です。

 

 

小形 剛央
税理士法人小形会計事務所 所長
株式会社サウンドパートナーズ 代表
税理士・公認会計士

 

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

本記事は『たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学

たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学

小形 剛央

幻冬舎MC

「会計」と聞くと、「面倒だけどやらなくてはいけないもの」というイメージを持つ人は少なくないはずです。 税務申告のため、融資を受けるため、売上や利益の金額を確認するため…。会計の役割をそういったものだけだととら…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録