(※画像はイメージです/PIXTA)

「グループホームを建てて運営事業者に貸す」ビジネスを展開する企業が、蓄積したノウハウを活用し、自ら障がい者福祉施設の開設実現を目指すことになりました。ここでは、グループホームの建設地の町内会長への説明というプロセスについて、実際の対話をもとに解説していきます。

近隣の方々との「相互理解」を重視したい

ところで「近隣」という言葉から、都市部だと住宅が立ち並んでいる地域の、たまたま空き地になっているところに隣家と密接してグループホームを建設するというイメージをもつかもしれません。四方全部が一般住宅で、住宅と住宅の間も4m道路が走っているという感じです。

 

しかし私たちが建設を予定しているのは、都市部のような壁一つ隔てた「近隣」ではありません。周りは全部田んぼで、いちばん近い家が田んぼを2枚はさんだところにあって、歩いて2分はかかります。半径1キロメートル過ぎたらちょっと住宅街に入るかな、という環境なのです。

 

そんな場所に集団生活が可能な障がいのある人たちの住むグループホームができることに、強く抵抗するとはどういうことなのか……。これだけ多様性が叫ばれている時代に、なんだか悲しい気持ちになってしまいました。

 

私たちが運営するグループホームはすでに県や市から建築許可を得ているので、近隣住民の方々の理解が得られなくても建てることはできます。

 

しかし、私たちにはできるだけ地域の方々に理解していただいたうえでこの事業を進めていきたいという思いがありました。敵対関係のまま進めてしまうと、トラブルや自立生活の妨げになるような事態が起こらないとも限りません。

 

とりあえずもう一度説明会をして、そこで納得してもらえるようなところまでもっていこうということになりました。

 

前回、「専門家の話が聞きたい」と住民の方からのご要望があったので、これまでにもいろいろと助けていただいている就労支援事業所の所長に、住民説明会でお話をしてもらうことにしました。また「障がいのある人と関わったことがない」という方が多かったことから、実際の姿を見ていただく必要があると考えました。

 

それについては、就労支援事業所の所長さんからすばらしいご提案をもらいました。「就労支援事業所で働いている人にインタビューをして動画を撮影してみてはどうですか」と言ってもらえたのです。

 

そこでご厚意に甘えて事業所を訪れ、何人かの方に日常生活に関するインタビューをして動画に収めました。

 

次回は、2度目の住民説明会について解説します。

 

 

岩崎 弥一
アルカスコーポレーション株式会社 代表取締役
南砺市商工会 副会長

 

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