(※写真はイメージです/PIXTA)

戦後数十年間も塩漬けだった「都市計画道路」事業。これが先般の東京オリ・パラ特需を起爆剤に続々と認可され、各地で用地買収が開始されたのをご存じでしょうか。「予定は未定」と高を括っていた道路沿いの地主も事業決定となれば後の祭りで、立ち退きを余儀なくされます。所有地の一部または全部が都市計画道路予定地である場合、事業決定前にどのような対策を打っておくべきか検証します。

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    売却する?それとも現状維持がいい?

     

    収用による売却益を目的に購入した投資家は別として、先祖代々暮らした土地が不運にも道路予定地にかかってしまった後継地主、または道路予定地のリスクを重く捉えず購入してマイホームを建ててしまった若いファミリーは、今後どのような対策を練れば良いのでしょうか。

     

    まだ事業決定されていない段階であることを前提に、以下3つのケースで考えてみました。

     

    ★所有地全体が道路予定地に含まれている場合

    たとえ相場より大幅に価格を下げたとしても、第三者への売却は大変難しいと思われます。愛着のあるマイホームであれば、その役割を終える日まで暮らし続け、計画決定後に自治体から買い取り・補償のお金を受け取って新居へ移ることをおすすめします。また、建物がアパートなど賃貸住宅の場合は、賃借人に対し計画決定後の速やかな退去が促せる「定期借家契約」を結んでおくことも必要です。

     

    ★所有地の半分に道路予定地がかかる場合

    土地面積や用途地域指定の違いによって判断は異なりますが、概ね15~20坪(約50~60m2)以上の土地が残るのであれば一戸建て住宅は建てられるので、それを前提とした売買ニーズは期待できそうです。加えて工事完了後、前面道路が拡張することで路線価が上がり、それに同調して土地評価額が高くなる可能性もあります。暮らしに余裕があれば、そのまま保持して価格上昇後に売却するという手もあります。

     

    ★所有地のほんの一部に道路予定地がかかる場合

    道路予定地の面積が10m2程度などごく少ない場合は、私道(42条2項道路)に面した土地のセットバックと同様と考えることができます。対象土地が駐車場の一部、または建物の改築が生活に支障のない程度であれば、計画決定前に売却を考える必要はないでしょう。苦労するのは建物改築中の仮住まい期間程度で、その後は以前と同じように生活を再開できることでしょう。

    所有者は対応を「その時」を見越した対応を

     

    都市計画道路事業の多くは昭和中期に起案された計画であり、これまであまり具体化されていませんでした。しかし、このたびのオリ・パラ開催によって都市のインフラ整備が求められ、潤沢な予算も充当されたために「予定は未定」といわれ続けた事業が実行されるに至りました。

     

    都市計画道路事業の事業決定(事業認可)がいつ下りるかはわかりません。道路予定地の土地所有者はその時に備え、土地の特性に合わせた対応を考えておくことが賢明です。

     

     

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    ※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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