(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもがない方が亡くなった場合、きょうだいや甥姪といった複数名が相続人となるケースが多く、相続財産に不動産が含まれると、相続人の数の多さが影響し、手続きは非常に煩瑣となります。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が、実例をもとにわかりやすく解説します。

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子のない方の相続は、しばしば所有する不動産が問題に

子どものいない方の場合が亡くなった場合、きょうだいやおいめいといった相続人多数の相続になりますが、そういったケース顕在化しやすいのが、被相続人所有の不動産の問題です。

 

筆者が事務所を構える横浜市では、65歳以上の約8割の世帯が持家に居住しているといわれており、実際に不動産が相続手続きの手間となる場合が多く見られます。

 

たいていの場合、財産は「不動産」と「預貯金」の2つに大別できます。預貯金は金銭ですから割り算できますし、最終的には法定相続分で按分するケースも多いため、相続のハードルはやや低いといえます。

 

一方で不動産は、被相続人の自宅が所有の場合、換価などをしない限り、按分することができないため、よりハードルが高いといえるでしょう。換価のためには、生きている人名義に登記を変えない限り、何もすることができません。

横浜市の場合、65歳以上の約8割の世帯が持家に居住

横浜市では、持ち家率を調べられる興味深いデータが公表されています。

 

10-7 持ち家の数と持ち家率 

「持ち家率」は、世帯全体に占める「持ち家に住む世帯」の割合で求められます

https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/tokei-chosa/portal/bunya/jutaku/bunya1007.html

 

横浜市では、65歳以上の約8割の世帯が持家に居住しているといわれます。逆にいえば、亡くなった方のおおむね8割(上記データは世帯数ですので、正確には異なるでしょうが)について、何らかの不動産に関する手続き、一般的には相続登記等といわれる手続きが必要になるということです。

 

子どものない方が亡くなった場合、この登記名義をだれが受け継ぐのか、という時点から決まらないケースも見られます。そもそも多数いる相続人に当たる方が、被相続人の相続の発生を知らないケースも珍しくありません。

「子どもがいない相続」は、今後確実に増えていく

一方、未婚率は年々上昇を続けています。平成30年時点で約3割の男性が未婚という状況です。

 

未婚で子どものいる方もいるでしょうが、大半は「子どもがいない相続」の発生確率が高いといえるでしょう。また、婚姻していても子どもがいない世帯も多くあります。

 

令和3年版 少子化社会対策白書 全体版(PDF版)

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2021/r03pdfhonpen/r03honpen.html

婚姻・出産の状況

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2021/r03pdfhonpen/pdf/s1-3.pdf

 

このため「子どものいない方の相続」については、現場の感覚としても減ることはなく、確実に増えているのが現状といえるでしょう。

 

次回は、これまで筆者の元に寄せられた「子どものいない方の相続」のご相談において、どんな点が課題や障害になるのか、具体的に見ていきます。

 

 

近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

 

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本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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