米国大型成長株式の金利感応度はいつからマイナスに?
ここで、「米金利と大型成長株式の負の関係は、直近だけではないか」という疑問も浮かびますので、時系列で見たのが[図表3]です。【赤いライン】で示す米国大型成長株式は、パンデミック以降、金利感応度がプラスからマイナスに変化しています。
その前をみると、1999年の終わりあたりから2000年にかけてのITバブルの局面でもマイナスになっています。このあたりの局面は、①前半は、米連邦準備制度理事会(FRB)の緊急利下げや流動性供給によって、米国成長株式が大きく上昇した局面が含まれています(→金利低下と株上昇のサンプルが少なくない)。
②後半は、逆に、引き締めと金利上昇が続きましたから、金利上昇とともに株価は調整を始めたわけです(→金利上昇と株下落のサンプルが少なくない)。
ポートフォリオの「金利感応度」シミュレーション
米国大型成長株式に「米国債」を足した場合
[図表4]は、米国大型成長株式100%のポートフォリオに、米国債を10%ずつ足していくときの、ポートフォリオの「金利感応度」の変化を示しています。「米国大型成長株式」を使う理由は、世界中の投資家がそこに集中しており、議論をシンプルにするためです。
すでに上で見たように、また[図表4]の【一番左の棒】と【一番右の棒】を比べればわかるとおり、米国大型成長株式も米国債も金利感応度がマイナスであり、なおかつ似通った水準であるため、米国債を増やしても、ポートフォリオの金利感応度はほとんど変化しません。
米国大型成長株式に「米国割安株式」を足した場合
[図表5]は、米国大型成長株式100%のポートフォリオに、米国割安株式(大型・小型合わせて)を10%ずつ足していくときの、ポートフォリオの「金利感応度」の変化を示しています。
米国大型成長株式と米国割安株式とを分散して持つと、ポートフォリオの金利感応度が小さくなることがわかります(→例:40%/60%、50%/50%、60%/40%など)。なぜなら、【一番左の棒】と【一番右の棒】を比べればわかるとおり、米国大型成長株式と米国割安株式の金利感応度は真逆であるためです。
すなわち、米国割安株式に分散をしておけば、①現在の課題であるポートフォリオの金利感応度を減らせるとともに、②まだ、3年程度続く可能性がある景気拡大からのリターンを狙うことができます。
「ポートフォリオに、米国ハイ・イールド債券と割安株式を」。分散投資ができているかを確認しましょう。