「クールジャパン」は死屍累々…なぜ国の主導だと失敗するのか (※写真はイメージです/PIXTA)

「クールジャパン」は日本の文化やポップカルチャーなど、外国人がクールととらえる日本の魅力を発信し、日本の経済成長につなげるブランド戦略です。アベノミクスの柱、成長戦略のひとつでしたが、明らかに失敗しているといいます。渡瀬裕哉氏が著書『無駄(規制))やめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)で解説します。

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「クールジャパン」に政府の口出しは無用!

ここでは文化やスポーツの規制を廃止するとより発展して経済成長もできるというお話をしています。ところで、いったい「文化」とは何でしょうか。そして、それはどのように発展していくものなのでしょうか。

 

難しいテーマを投げかけてしまいましたが、ひとつ例を挙げてみましょう。

 

読者の皆さんは「巫女の日」をご存じでしょうか。3月5日、インターネット上では絵師さんや有志の人たちによって、巫女さんを題材にしたイラストやコスプレをした画像が発表されています。3(み)5(こ)の語呂合わせで巫女の日です。

 

特に政府が「巫女の日を作ってください」と音頭を取ったのではなく、自然にそうなったというような記念日です。他には5月(May/めい)10日(ど)で「メイドの日」というのもあって、色々な人がイベントなどを楽しんでいます。

 

巫女さんは、お正月の初詣などのときに神社で見かける存在です。実は、現在のような巫女さんも、政府との関係から生まれたものです。この場合は、明治維新後に政府が行った宗教政策による統制です。

 

巫女さんの歴史は古く、『日本書紀』にも神霊と人の間をつなぐ巫覡(ぶげき)の記述があり、当時は男性、女性の両方の例があると伝わっています。時代ごとにその態様は様々ですが、各地で民衆の間に立ち混じり託宣をする巫女は、江戸時代には世直し一揆の要因になるとして、禁圧の対象にもなりました。

 

明治6年(1873)、政府に新しく作られた教部省は、「梓巫市子並憑祈祷狐下ケ等ノ所業禁止ノ件」という省達を出しました。いわゆる「巫女禁断令」です。当時は、そこここに占い師のような巫女さんがたくさんいたのです。

 

明治新政府は、江戸時代後期の大火や飢饉で爆発的に増えたまま廃社となっているような社寺を整理します。どのような政府の施策にも功罪はありますが、ことに明治初期の宗教政策においては、長く続いてきた土着の祭礼や貴重な仏像仏具が失われたり、社寺を核とした地域共同体を壊してしまったりしたので、後々に批判されることとなっています。

 

こうした中、巫女さんにも神社で神職に仕え、支える役割を担ってもらうような政府統制が加えられてしまいました。

 

現在の巫女さんの存在は、最初に紹介した「巫女の日」のように、広く親しまれる日本文化の担い手となっています。政府統制から離れた巫女さんたちは、かつて民衆の中に混ざって存在し続けた歴史に近い姿のようにも見え、文化は雑多な中から生まれてくるものだなと改めて感じさせられます。

 

一方、文化に対する国家統制として、明らかな失敗をしているものがあります。「クールジャパン」です。

 

平成19年(2007)、第一次安倍内閣は「感性価値創造イニシアティブ」を策定し、産業における日本特有の価値観を「作り手の感性やこだわりに由来し、生活者の感性に訴えかけるもの」と位置付けて、日本ブランドの価値を高めようという政策を始めます。

 

これを背景に、平成22年(2010)、民主党政権が経済産業省に「クールジャパン海外戦略室」を設置、これを拡大する形で本格的に始動したのは平成24四年(2012)のことです。内閣府の知的財産戦略推進事務局には、クールジャパン戦略の要点が次のように掲げられています。

 

◎クールジャパンとは、世界から「クール(かっこいい)」と捉えられる(その可能性のあるものを含む)日本の「魅力」。


◎「食」、「アニメ」、「ポップカルチャー」などに限らず、世界の関心の変化を反映して無限に拡大していく可能性を秘め、様々な分野が対象となり得る。


◎世界の「共感」を得ることを通じ、日本のブランド力を高めるとともに、日本への愛情を有する外国人(日本ファン)を増やすことで、日本のソフトパワーを強化する。


内閣府 知的財産戦略推進事務局 クールジャパン戦略(令和元年9月)
https://www.cao.go.jp/cool_japan/about/about.html

 

簡単にいうと、クールジャパンは「外国人がクールととらえる日本の魅力」であり、クールジャパン戦略は「クールジャパンの発信、海外展開、インバウンド振興によって世界の成長を取り込み、日本の経済成長を実現する」ものです。

 

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国際政治アナリスト
早稲田大学招聘研究員

1981年東京都生まれ。早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。選挙コンサルタントとして知事・市長のマニフェスト作成など公共政策の立案に携わる。その後、創業メンバーとして立ち上げたIT企業が一部上場企業にM&Aされてグループ会社取締役として従事。
現在、一般社団法人「救国シンクタンク」を立ち上げ政策提言活動を展開。また、減税・規制廃止を求める国民運動一般社団法人「一国民の会」代表を務める。
著書に『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか―アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図』(すばる舎)『税金下げろ、規制をなくせ日本経済復活の処方箋』(光文社新書)など多数。雑誌『プレジデント』(プレジデント社)にて連載中

著者紹介

連載「無駄な規制をやめる、税金を下げる」と日本は元気になる!

※本連載は渡瀬裕哉氏の著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和

無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和

渡瀬 裕哉

ワニブックス

現在の日本の政治や経済のムードを変えていくにはどうしたらよいのでしょうか。 タックスペイヤー(納税者)やリスクを取って挑戦する人を大事にする政治を作っていくことが求められているといいいます。 本書には「世の中に…

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