写真:PIXTA

欧米株価市場のような最高値更新レベルまで回復が見られなかったフィリピン。そのため世界とは少々違った動きをみせていました。そのようななか各種経済指標は予想を上回り、期待感が膨らんでいます。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏のレポートです。

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フィリピンGDP…政府目標上回る

 

2021年第4四半期のフィリピンのGDPは前年同期比7.7%増となりました。Covid-19規制が緩和され、年末年始の消費が好調だったため、主要経済部門すべてがプラス成長となりました。通年ベースでは、5.6%増となりました。これは、政府が目標としていた5%から5.5%のレンジを若干上回った形になります。

 

セクター別にみると、製造部門とサービス部門が最も強い伸びを示しました。製造部門は8.2%拡大し、サービス部門は5.3%回復しました。農業・畜産業は、移動制限、台風、アフリカ豚コレラ(ASF)の発生など、厳しい1年となりました。

 

需要面では、個人消費が2020年は7.9%減でしたが、2021年は4.2%増に回復してきました。投資は対前年9.5%増となりましたが、建設部門が15%増、インフラ整備などの政府支出は前年比7.4%増と大きく増加しました。貿易は、輸入の伸びが9.1%増で、輸出8.3%増を上回っています。

 

オミクロンウイルスの出現により若干ブレーキがかかったものの、GDP改善の勢いは、2022年にも持ち越されたと見られています。オミクロン株は感染力が強いものの、アルファ株やデルタ株のような深刻な症状は引き起こされていないため、以前のような厳しいロックダウンは実施されず、ワクチン接種も加速しているためです。

 

また、2022年は大統領選挙の年でもあり、5月の国政選挙を前にして各種支出の増加が予想されています。

フィリピンの債務水準は世界的にも健全な水準

 

フィリピン政府の債務残高は2020年の9.8兆ペソから2021年には20%増加して11.73兆ペソとなったと財務省が発表しました。この債務水準は国内総生産(GDP)の60.5%になります。

 

日本の場合には、財務省のホームページによると2021年4月の段階で、256.2%と世界最高水準にありますので、これに比べるとかなり健全ではありますが、コロナ前の2019年時点では、フィリピンの債務・GDP比率はたったの36.9%と非常に健全でしたので、流石に今回のコロナにより、様々な政府支出が発生したことを裏づけています。国際基準では、60%以下が健全財政と見られています。

 

債務残高は2021年10月にピークの11.97兆ペソに達し、その後11月と12月は純償還を実施したため、政府目標の11.73兆ペソに収まりました。フィリピンペソは、新興国通貨の中でUSDに対して、最も安定した通貨と言われています。海外で働くフィリピン人(OFW)からの国内送金が年間で3兆円超あり、常時フィリピンペソ買いの需要があるためです。新興国は、よく今のような金利が上がる局面では、ドル建て債務の支払い能力が懸念されますので、安定した為替は非常に重要な要素となります。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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