写真:PIXTA

世界的に株価が少し落ち着きを取り戻す中、フィリピン株式総合指数PSEIは、2/9の終値で7500の節目を超えてきました。材料や動きが出ている銘柄やセクターについて、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏がレポートします。

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上昇期待のフィリピン市場…注目の企業3選

フィリピン株式市場は、欧米株式市場のような最高値更新レベルまで、コロナからの株価が回復していませんので、先進国株式市場からの資金移動などあれば、大きく上昇局面に入ってくる可能性もあります。市場のボラティティーが上がっている中、長期投資の視点で、構造的・本質的に価値のある企業を見極めていくことが重要です。材料や動きが出ている銘柄やセクターを見ていきましょう。

 

グローバルな港湾管理会社

International Container Terminal Services Inc.(ICT)は、2月9日終値ベースで史上最高値を更新しました。

 

1987年、マニラ港の国際コンテナターミナル(MICT)の運営・管理・開発のための公募に伴い、ICTが設立されました。1988年5月にMICTの運営権を獲得し、その後、フィリピン国内外に事業を拡大しているフィリピンを代表するグローバル企業になりました。同社は、主に国際コンテナ貨物の取り扱いを各国のの港湾局や政府と長期コンセッション契約を締結して、事業展開しています。

 

そして、同社は既存の事業を展開している海外市場でのさらなる事業拡大を目指しています。さらには、M&Aも駆使して新規契約の獲得も視野に入れています。新規拡大先として、インド、インドネシア、アフリカを視野に入れています。

 

発電事業に従事するフィリピン企業の展開

First Gen Corporation(FGEN)は、アビオン発電所1号機を部分的に復旧させたと発表しました。同プラントのコンストラクターである米GEは、LNG(液化天然ガス)を使用した再運転とテストを行っています。同発電所は、FGENの子会社であるプライム・メリディアン・パワージェン・コーポレーション(PMPC)が運営しています。アビオン発電所は、2基のオープンサイクルガスタービン発電所で、燃料は沖合のマランパヤガス田から調達しています。

 

LNG(液化天然ガス)を燃料とする発電所は、同社では初めてとなります。FGENの再生可能エネルギー発電所ポートフォリオに新たに加わった発電所として、安定したキャッシュフローが期待できます。同発電所の再運転は、2カ月間のメンテナンス期間後とされていたため、予定通りの再稼働となりました。天然ガスと再生可能エネルギーは、石炭への依存度を下げることを目指すフィリピンにとって、必須の投資先と考えられています。

 

FGEN社の利益の75%は天然ガスが占めており、アビオン・プラントのLNGの利益は10%程度です。プラントがメンテナンス中だったため、FGENの株価はバーゲンハンティングの魅力的な水準までアンダーパフォームされています。現在、5年平均のPERから1標準偏差で取引されていて、アナリストコンセンサスの目標株価は37で、2/9終値27.50から35%のアップサイドとなります。

 

FGENは、ロペス財閥グループのエネルギー関連事業の主要な持株会社として、1998年12月22日に設立されました。設立以前は、親会社であり支配株主でもあるファースト・フィリピン・ホールディングスを通じ、1993年より発電事業に携わってきました。

 

フィリピンを代表する採鉱企業…大幅な成長を発表

Philex Mining Corporation(PX)会長のManuel Pangilinan氏は、PXのEBITDAとコア利益の2021年の成長率は10%台後半になるという発表を行いました。成長の主な要因は、金属価格の急激な上昇です。2021年9ヶ月間の報告で、PXの総収入は前年比23.4%増の72.2億ペソとなり、最終利益は、2020年の918.3百万ペソから、同じ9ヵ月間において18.8億ペソに急増しました。

国を超えた提携でフィリピンのキャッシュレスは進む?

通信大手グローブテレコムのネット決済会社GCashとインドネシア・フィンテック企業Xenditがパートナーシップを締結し、よりシンプルで安全、かつシームレスな決済ソリューションを提供します。GCashは、5,100万人を超える登録ユーザーを抱える国内最大の電子ウォレットの1つです。

 

一方、Xenditは、東南アジアの企業の支払いプロセスを簡素化する支払いソリューションを提供するインドネシアのフィンテック企業です

 

両社はアライアンスを組んで、フィリピン人の日常生活においてキャッシュレス決済が凄まじい勢いで普及する中、さらに革新的で安全性の高い金融ツールを提供します。

 

LCCのセブパシフィック航空(CEB)は、同社のセルフマネージポータルの利用率が96%に達し、コロナによるDX化の流れの中で、同航空のデジタルセルフサービス機能が高く評価されているというステートメントを出しました。

 

※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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