「塾にいっているだけで安心」は本当か
今は、「塾にいっておけばなんとかなる」的な考え方が根底にあり、自分たちでやってみようと考えるご家庭は少数派です。しかし、「塾」が、子どもの教育において当たり前の選択肢になっていることに、疑問を抱かざるを得ません。やり方を知れば必要な勉強を自分できちんとできる子は、実は相当数いるのではないかと思うのです。
塾にいくもうひとつの大きなきっかけは、進路や高校を真剣に考え始め、親も子も「初めての受験」という壁を前にしたときです。周りの多くがその選択をするように、「うちも塾にいかなければ」と考えてしまうのでしょう。
これは私見ですが、「皆がいく」という同調意識から、「塾にいかないと成績が下がる、合格できない」という不安に駆られてしまうことが大きいのではないでしょうか。
人と違っている ➡ 不安×
人と違っている ➡ 強み、自信〇
「人と同じである」というだけで安心しがちですが、人と違っていることは、本来は自分に自信を持てる、強みになるはずの個性です。
違った人間が集まった社会の中で、私たちは幸せに生きていくために教育を受けています。幸福の価値観や幸せの尺度は十人いれば十通りです。それぞれどうすれば幸せな人生を送れるのか、そのために何をすべきなのかが違っている以上、他人と比べる必要は全くありません。周囲と同じで安心している状態こそ、見かけだけの平穏で、実は幸せに向かって遠回りをしているような気がします。
塾にいっているだけで安心。
この状況も受験生にとって、実は見せかけの安心である場合があるかもしれません。受験について知っておかねばならない情報がある以上、必要な情報を提供し、丁寧に進路指導をしてくれる塾の存在は心強いでしょう。しかし、一昔前とは違い、今のネット社会では、受験情報が入手しやすくなりました。「知ろう、探そう」とすれば情報は手に入ります。「必要な情報は何なのか」を的確に知る・理解する力があれば、自分たちでできることも多いはずなのです。
塚松美穂
ライター・教育アドバイザー
学習支援コーディネーター