なぜ親は子どもを塾に通わせるのか?
そもそも、なぜ塾にいくのでしょう。もしくは、いかせるのでしょうか?
塾に通い始めるきっかけや理由にはいくつかあります。
まずは、中学受験を経験した子どもたち。中学受験に関しては、まだ10歳ちょっとの小学生が自分で進路を選択するというよりはむしろ、親の教育や子育ての意向が大きいと思います。中学受験をする場合、塾なしでは難しいでしょう。公立の小学校が中学受験に対応することはありません。なぜなら受験をしなくても、中学校に上がれるシステムだからです。
小学生が試験選抜で入学する私立中学や中高一貫校などへの進学を希望する場合、選抜テストに対応できる学力をつけ、対策やノウハウなどを教わるために塾通いが始まります。この場合、学校での勉強をきちんとすればよいという話ではないため、必然的に塾や家庭教師が必要になります。一度、中学受験を経験した子どもが、もし受験に失敗して公立中学校に通うことになった場合、そのまま塾通いを続けているご家庭は多いのではないでしょうか。
文部科学省の学校基本調査によると、東京都の中学生の25%、4人に一人は、私立中学校に通っています。中学受験を経て入学しているでしょうから、小学生で塾デビューをした子が、ほとんどでしょう。
小学生が塾に通い始める理由のひとつは、私立もしくは中高一貫校へのいわゆる「お受験」組です。都内でも地域差は多少あると考えられますが、一般的な公立小では、塾は中学受験を考えた家庭の子どもがいくものという位置づけです。一方で、公文や補習塾といった学校の授業の復習・理解のために通う子どもたちがいます。近年、中学受験に挑戦する子どもが増加し、塾に通い始める時期の低年齢化が進んでいるといわれます。
では、東京で地元の公立中学校に進学する残り4分の3の子どもたちは、いつから塾に通い始めるのでしょうか。公立学校に通う子どもが通塾を始めるきっかけを考えてみましょう。
ひとつは、「中学に入ると勉強が難しくなるのではないか」と不安になるという理由です。学校で6月前後に行われる最初の定期テスト。ここで思ったように点数が取れないと、「やはり、塾にいかないと自分で勉強するのは難しいのでは」と、不安に感じてしまいます。
小学校での単元テストと違い、定期テストはテスト期間が設けられ、勉強の方法も大きく変わります。これを最初からうまく乗り切れる子どもは、天才肌か、とても要領のいい子でしょう。テストのやり方が大きく変わった中学で、すぐに力を発揮するのはとても難しいことです。職場が変わる、環境が変わったとき、大人も同じですが、適応するには多少なりとも時間が必要です。
そうだとすると、中学生になって定期テストもそのやり方に慣れてコツをつかめば、多くの子どもたちは、たとえ自宅学習であっても乗り切れるのではないでしょうか。その場合はもちろん、対策や進め方をアドバイスしてあげる必要もあるでしょう。この定期テストのタイミングで、例えば思うように点数が取れなかったときなど、塾が必要かどうかという話になってきます。