(※写真はイメージです/PIXTA)

もともとは戦後つくられた娯楽施設利用税でした。1989年の消費税導入の際にパチンコやボウリングなどは税が廃止されましたが、ゴルフだけがゴルフ場利用税として残りました。なぜなのでしょうか。渡瀬裕哉氏が著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)でゴルフ場利用税について解説します。

教育や競技を目的にした利用には減免措置も

では、乱開発でハゲ山になってしまうのか、というとそうではありません。ゴルフ場を設置するにあたって、税金を取るよりも、周囲の森林の保全や林業の振興などに貢献する形の対応をすればよいのです。ゴルフ場の経営者がそうした保全事業、振興事業を行ったことに対して減税をすれば、課税を維持するよりも地域にとって良い効果を得られるはずです。

 

こうしたゴルフ場利用税と同じように、全国には細かな税金がたくさんあります。たとえば、観光地に泊りがけで訪れた際に、宿泊料金に応じて課税される宿泊税です。チェックアウトの精算時に、少しだけ徴収されています。

 

もっといえば、森林環境税のようなものもあります。土砂災害や洪水、渇水などの防止のために、森林の保全は非常に重要です。現在は都道府県が独自に設定している税目で、個人の場合は数百円が徴収されています。森林整備の目的税は、2024度から国税でも導入されます。市区町村が住民税とあわせて徴収し、一旦政府に収めた後に都道府県1割、市町村9割の配分で森林環境譲与税として交付される仕組みです。これは個人を対象に、1人当たり年1000円の金額です。

 

しかも税を取るだけ取って、実際に環境保護にどれくらい使われているかは分からないのが実情です。環境保護に使うと言いながら、「環境が大事だよ」というCMに莫大な予算を使ったりします。これではまったく意味がありません。少しずつ、他の税と一緒に気付かない程度に徴収されている税が多ければ多いほど、その分気が付かない間に経済全体の足枷が重くなっていきます。

 

こうした細かな税は個人ごとに薄く広く課税されているので、足枷を軽くしたり重石を取り除いたりするのが難しいように思われますが、方法はあります。

 

たとえばゴルフ場利用税は、現在、ゴルフ関係の人たちが税の廃止を訴えています。それだけだと、関係者が言っているだけという話になってしまいます。しかも、教育や競技などを目的にした利用には減免措置が設けられていて、利用者の中でもゴルフ場利用税廃止の意義は必ずしも一定した認識を得られているわけではない場合もあります。

 

一方、たとえば宿泊先のホテルなどで、宿泊税を払いたくないという人たちもいます。では、その2つがくっついて協力したら、どうなるでしょうか。

 

細々した色々な税金をなくしたい人たちが協力していき、税金を下げたり廃止したりする大きなグループの形になっていくと、状況が変わっていきます。何かの税金を廃止したいという人は、他の税金を廃止したいという人たちと一緒に、お互いにそれぞれの税廃止を主張すると、単に普段ゴルフ場でプレーをしている人だけの問題ではなくなっていきます。

 

「どの税をなくすのか」ではなく、「税をなくす」こと自体で手をつなげば、細かな税の積み重ねという意識されにくい経済への負担を減らしていくことができるようになるのです。

 

渡瀬 裕哉
国際政治アナリスト
早稲田大学招聘研究員

 

 

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    ※本連載は渡瀬裕哉氏の著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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