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息子も知らない証券口座を税務署が見つける方法
税務調査は、平成23(2011)年度税制改正により、納税者に「事前通知」することが法制化されました。ところが、これを逆手に取り、申告期限内には意図的に過少申告し、「事前通知」が来たのち、調査開始までに修正申告するという手口が目立ち始めました。実地調査までに自主的に修正申告を行えば、加算税といったペナルティは免れることができたからです。
そのため、「事前通知」の前に、平成29(2017)年から「調査通知」が行われ、調査通知後に行われた修正申告にも5%(一定額超は10%)の過少申告加算税が課せられることになりました。仰天したのは、何の問題もなく相続税申告と納税を行ったつもりのYさんです。
「調査通知」「事前通知」ともに、税務署職員の異動が少し落ち着いた8~11月が多いとされています。年初から春にかけてというのは異例ともいえますが、ないとはいい切れません。また、郵送よりも電話によることが多いのですが、伝えられる内容が異なります。
●調査通知
- 実地調査を行う旨
- 調査の対象となる税目
- 調査の対象となる期間
●事前通知
- 調査を開始する日時
- 調査を行う場所
- 調査の目的
- 調査の対象となる税目
- 調査の対象となる期間
- 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
- その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項
「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」に関して、なんと他界した父親が証券会社とネット取引をしており、その分の申告漏れがあったのです。「父はデジタルが苦手」と思い込んでいたYさんの明らかな見落としでした。ネット証券は書類として残らないため、遺族が口座の存在自体知らない場合もあるのです。
それにしても、息子であるYさんも気づかなかった証券口座の存在を、なぜ税務署は知ることができたのでしょう?
平成28(2016)年に『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律』が施行されました。これに基づき、平成27(2015)年12月31日以前から証券取引している方は、証券会社にマイナンバー(個人番号等)を登録することになりました。
しかし、なかなか登録者が増えなかったため、マイナンバー登録の期限を令和3(2021)年12月31日としました。そして、令和4(2022)年1月1日からは、証券会社が顧客のマイナンバーを「証券保管振替機構(ほふり)」から取得できるよう法的に定められたのです。
証券会社はマイナンバー付きで支払調書を税務署や行政機関に提出します。一方、税務当局はマイナンバー付きで証券会社に加入者情報を照会できるようになりました。証券口座の照会業務がオンライン化され圧倒的にスピードアップし、税務調査も効率化されたのです。
なお、今現在、取引を行っていない証券口座も含め、存在するすべての証券口座がマイナンバー提供の対象となります。Yさんのように相続人が困ることのないよう、所有する証券口座について遺言証書を残すか、せめてエンディングノートに記しておきたいものです。
証券だけではありません。近頃は、銀行や保険会社ともネット取引できるようになりました。銀行口座や生命保険もマイナンバーで紐付けされ、税務調査が迅速化されるのでしょうか。
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