(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資を始めてみたいと考えているサラリーマンの人は少なくないでしょう。不動産投資は基本的に「不動産賃貸業」であり、他人に生活の基盤である住居を提供して収入を得る「ビジネス」です。成功させるには、副業感覚ではなく「自分は不動産賃貸業を営む経営者なんだ」というマインドセットが欠かせません。アパートや賃貸マンションを持つ以上「知りません」「できません」では済まされない、トラブルの対処法について見ていきましょう。

②賃料関係(滞納・夜逃げなど)について

■住人が「悪質な滞納者」でも「無理やり追い出す」のは法的にアウト

次に挙げられるリスクは賃料関係です。

 

●賃料が滞ると、単純に収入が逼迫し銀行返済に支障が出る

●滞納が継続しても、法的な手続きを踏まない限り追い出しなどはできない

●夜逃げが発生しても、連絡がつかなくなると残置物撤去もすぐはできない

 

賃料関係のトラブルは避けようと思っても避けられないのが実情で、正直運に任せるほかにない要素もあります。

 

ただし、一部は次のような方法で事前にリスクヘッジできることもあります。

 

●賃借人に保証会社に加入してもらう

●緊急連絡先の情報を複数名あらかじめもらっておく

●賃料収入に対し、返済割合が極度に高くならないようにローンの借り方を調整する

 

とはいえ、悪質な滞納者の発生は困るもので、場合によっては対応が必要になります。ただ、やり方にはルールもあり、ひと昔前の話だと、大家が滞納者の部屋の鍵を自分で交換し、実質的に追い出しを自分で完了させた、などという話をなんとなく耳にしたことがある方もいるかと思いますが、これは実はアウトです。

 

なぜなら、いわゆる「自力救済禁止の原則」に反し、むしろ相手側から民法上の不法行為として損害賠償を請求されたり、刑法上の住居侵入罪や器物損壊罪に当たる可能性もあったりするからです。

 

■では、「法的な手続きによって追い出す(強制執行)」には?

実際に追い出しをしようと思うと、賃貸借契約を解除したうえで、裁判所に強制執行を申し立て、許可を得るという手続きを踏む必要があります。

 

強制執行の許可を得るまでに半年以上かかることも珍しくなく、そもそも賃貸借契約の解除には3ヵ月程度の滞納が前提となるので、手続きが早く進んでもその部屋からの9ヵ月分程度の賃料は捨てることになります。

 

訴訟費用ももちろん大家持ちで、手出しが発生します。また、そういった部屋はたいてい使い方もひどいので、追い出しに成功したとしても、次の入居者を募集するためリフォーム代などがさらに出ていく潜在リスクもあります。

 

賃借人が保証会社に加入している場合は、訴訟にかかる費用の負担、その期間中の賃料保証、裁判手続きそのものまですべて代行してくれます。そういう意味では、賃料に関するリスクのほとんどをカバーできると思います。

 

ただし、小さな保証会社は経済環境が悪化すると簡単に倒産することもありますので、できる限り資本力のある会社を選ぶほうがよいでしょう。

 

なお、この類のトラブルは、築古物件で特に起きやすいです。物件の売主が地主のパターンだと、賃借人がそもそも保証会社に加入していない場合も少なくありません。そういう場合は、途中から家主負担で保証会社に加入する方法をもっている管理会社もありますので、個別にご相談されるのがよいかと思います。

 

ただし、過去に滞納がないことが加入条件にはなりますので、正常な支払い状況までは頑張って是正してもらう必要があります。

次ページ③近隣トラブルについて

※本連載は、穴澤勇人氏の著書『融資上限は怖くない!税制と収益不動産をフル活用した資産形成』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

融資上限は怖くない!税制と収益不動産をフル活用した資産形成 アパートを「毎年」「現金」で買えるようになる!

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穴澤 勇人

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産投資で資産を拡大するためには、まずどの程度リスクを取り、どれだけのリターンを得るかといった目標を設定したうえで、どのような物件を購入するか決定することが重要です。 そして減価償却や税制を理解し、安定した…

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