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「共同担保になり得る物件」を選んで融資上限を突破
資産規模を拡大していくために、どのような物件でポートフォリオを構築していくとよいのでしょうか。ズバリお答えすると、「共同担保になり得る物件」で固めていくことをおすすめします。
というのも、物件を買い進めるにあたっては借入が必須ですが、その途中でどうしても借入額が融資上限に近づいてくると、金融機関の見方がどんどん渋くなってきます。
この傾向は3~4棟目を買い終わったあたりに顕著になり、「この間、融資したばかりなので、次はまた3年後くらいにご相談ください」という断り文句を連発されるようになります。これは物件評価と与信の差を埋めきる余力がなくなってきている証拠で、そのときに効果を発揮するのが共同担保の提供です。
ごく一部の金融機関でしか通用しない方法でもありますが、逆にいうと限界突破のためにはとても効率的な方法です。
しばらく抱えている予定の物件であれば、共同担保として提供し、抵当権でぐるっと巻いてしまっても特に問題ないはずです。なので、事業規模拡大の過程においては区分マンション、土地値が出ない物件(市街化調整含む)、地方物件などは避けたほうがよろしいと思います。同じ額の借入をするなら、伸びしろのある借り方をするほうがよいからです。
■共同担保にしやすいのは「物件価格の6〜7割くらいは土地値がある」物件
では、どんな物件が共同担保にしやすいかというと、これはシンプルに土地の値段が出る物件です。積算価格でもよいですが、最初にそういった積算の出るRCなどを買ってしまうと早めに資金的な意味で手詰まりが来ます。
そこで、節税効果の高い築古木造物件を選ぶことになりますが、その場合は上物の評価が0円ということも多く、頼れるのは土地値だけ、ということになります。
その際に利用される評価方法が、路線価です。これは一般の方でも(相当見づらいですが)、国税庁の財産評価基準書のページで調べることができます(図表1、2)。
もし不動産業者が知り合いにいる場合は、たいていの業者は路線価を簡単に調べられるシステムを入れているはずなので頼んでみるのもよいでしょう。
さすがに路線価ピッタリ、あるいは路線価以下で買える物件は、我々業者でもそうそうお目にかかることはできません。ですので、「物件価格の6~7割くらいは土地値がある」物件を優先的にポートフォリオに組み入れていくのがよいです。この際、売買契約書で取り決めた土地・建物の金額比率と路線価の額は関係ありませんのでご注意ください。
最終的に現金買いを目指したい理由はここにもあります。現金で買ってきた物件は当然無抵当なので、共同担保として評価するのが非常に容易です。
ただし、現金で買った不動産ならなんでもいいというわけではなく、100万円の区分ワンルームでは評価をしてくれないケースもあるので、やはり土地付き建物でそれなりの規模感は必要です。