①修繕系(水・電気・その他住宅設備の3種)について
■修繕系の対応は「初動の速さ」「コミュニケーション能力」が重要
これによって生じるリスクは、次のようなものが主です。
●賃貸人として、賃借人の居住空間を守れないのは義務違反になる場合がある
●賃借人が大家に対し潜在的に不満を溜める
●場合によっては解約、あるいは損害賠償請求になる
対応方法としては、次のような流れで進みます。
●詳細をヒアリングし、本当に故障なのか使い方の問題なのかを特定する
●故障と思われる場合は、実際に現地を確認する
●故障の場合、自分で直すのか、外部に委託して直してもらうのかを決める
●完了確認、外部に委託した場合は代金を支払う
管理会社が間に入っている場合には、事前確認までは済ませてオーナーに指示を仰ぐのが一般的です。
しかし、その分、時間がかかる都合から入居者にとって不満を溜める時間は長くなります。なので、管理会社とオーナー相互にレスポンスが良いことはスムーズな賃貸経営の必須項目といえます。
■賃料減額にもかかわる…知っておくべき「修繕するか否か」の基準
また実際のところ、修繕するかどうかで基準となるのは、民法と借地借家法です。
特に2020年の民法改正は不動産賃貸業にとって相当強烈で、建物の不具合を一定の免責日数以内に貸主が修繕できないと、借主は当然に賃料を減額してよいこととなりました(改正民法第611条)。
ただし、改正民法では減額の具体的な割合などまでは定めておらず、実際には賃貸借契約で取り決めておく必要があります。
そこで、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が賃料減額のガイドラインを公表しています【図表】。それによると、例えばトイレが使えない状態になると、免責1日を除いて修繕が完了するまで、その月の賃料の2割を日割りで自動的に減額する、といった具合です。
ほかのトラブルとも共通ですが、だいたい複雑化する場合は感情のもつれです。
問題が解消するかどうかにかかわらず、「やってほしかったことをやってもらえなかった」「対応が遅かった」「話をきちんと聞いてもらえなかった」といったことにより、言葉こそ丁寧でもどんどん人は対話を拒否していき、結果として必要以上のコストがかかることもあります。
なので、特に修繕系のトラブルは初動の速さ、そして対応者のコミュニケーション能力が何より重要です。