(※写真はイメージです/PIXTA)

資金調達アドバイザーの田原広一氏は、金融機関が“貸したくなる”条件とタイミングを知り、そこに向けた備えさえしっかりしていれば、誰でも資金調達が可能と語ります。融資を受ける最大のチャンスは決算書なしで借りられる「創業前」であり、創業して間もない社長にオススメの金融機関こそ「公庫」です。ただ「借りやすい」だけではない、公庫で融資を受けることのメリットについて見ていきましょう。

<①新創業融資制度>

「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家資金」などの新創業融資制度(2018年8月24日付)を利用する際の無担保・無保証人の特例措置です。融資限度額は設備資金と運転資金の合計で最高3000万円、設備投資をしない企業であれば1500万円が上限となります。

 

しかし、3000万円という上限額は、支店の担当を経て、その後、本店を通過した最大値です。大半は支店決裁で決定するため、その支店枠は1000万円になると考えておきましょう。

 

金利は基準利率で2.06~2.45%になりますが、各融資制度の特別利率の条件を満たしている場合には、金利優遇を受けることができます。例えば、女性、35歳未満・55歳以上に該当し、「女性、若者/シニア起業家資金」を利用する際には、特別利率(特利A)が適用され、1.66~2.05%となります(利率はいずれも2021年9月1日現在)。その他、技術・ノウハウなどに新規性が認められた場合も金利が優遇されます(特利B)。

 

どちらにしても、銀行のカードローンなどが最低5%前後の金利と考えると、好条件の金利水準といえます。

 

返済期間については、運転資金で最長7年以内、設備資金は基本10年以内となります。そのうち、金利のみの返済でよい据え置き期間は2年以内となっています。

 

もし、1000万円を年利2%、5年返済で借りたとしたら(据置期間なし、元金均等)、支払利息総額は50万8306円。月にすれば、返済すべき利息は8500円弱程度。利息を事業が立ち行かなくなった場合の保険料と考えるならば、金利水準もリーズナブルです。

 

「新創業融資制度」を活用するには、次の3つの要件を満たす必要があります。

 

1つ目が、創業の時期です。新しく事業を始める人、あるいは事業を始めたばかりの個人の場合、2回目の確定申告の前まで、法人ならば2回目の決算前であることが条件となります。

 

2つ目が、雇用創出、経済活性化、勤務経験についての要件です。次に挙げる3つのうち、いずれか1つを満たす人が対象となります。

 

●雇用の創出を伴う事業を始める人(雇用を生む事業であること)

●技術やサービスなどに工夫をこらし、多様なニーズに対応する事業を始める人

●前職と同じ業種の事業を始める方で、その企業に継続して6年以上勤務経験があるか、その企業と同じ業種に通算して6年以上携わった経歴をもつ人

 

3つ目が、自己資金が創業資金総額の10分の1以上あること。ただし株や不動産ではNG。現預金に限ります。上限の1000万円程度の融資を目指すなら、最低でも100万円は貯めておくべきでしょう。

 

当然ですが借りる資金の使い道は事業に限ります。投資やプライベートでお金に困っているというケースはNGです。

 

<②中小企業経営力強化資金>

新創業融資制度よりも融資の上限額は高く、事業資金を最高7200万円(設備資金2400万円+運転資金4800万円)まで借りられます。

 

同制度を利用できるのは以下の条件に当てはまる方です。

 

●経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む)を行おうとする人

⇒一見難しい条件のようですが、要は市場の創出ができればOK。どんな事業にも当てはまります。

 

●自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている人

⇒これは、認定支援機関という中小企業庁から認定を受けた専門家を通すことが条件となります。このほか、さまざまな特典があります。私の会社も認定支援機関の認定を受けています。

次ページ2つの融資制度…どちらをどう選ぶべき?

※本連載は、田原広一氏の著書『賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

田原 広一

幻冬舎メディアコンサルティング

資金調達のノウハウが知りたい経営者、必読!  起業の喜びも束の間、会社の存続をかけ資金繰りに頭を悩ます日々…。創業から1年以内に約3割の企業が廃業するといわれているなか、生き残るために必要な融資の知識とその活用…

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