(※写真はイメージです/PIXTA)

社会の超高齢化に伴って、今後、認知症有病者の増加は深刻な社会問題になっていきます。早期の発見・治療が重要ですが、「年のせいだから…」となかなか受診しないケースが多いようです。ここでは、家族が認知症かも?と思ったらまずどうすればよいのか、医療法人昭友会・埼玉森林病院院長、認知症専門医の磯野浩氏が解説していきます。

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    「家族が認知症かもしれない」と思ったら…

    同チームの役割は、認知症が疑われるものの医療にも介護にもつながっていない、あるいは過去に治療や介護を受けていたが現在は中断している人や、そのご家族を訪問し、認知機能や身体状況、生活の自立度、同居家族がいる場合は家族の介護負担などについて情報収集したうえで、どのような援助が必要か客観的に判断し(アセスメント)、医療サービスや介護サービスへとつなげることです。

     

    これにより、認知症になっても住み慣れた地域で安心した生活が続けられるようにすることをねらいとしています。

     

    「家族が認知症かもしれない」、「病院に行きたがらない」などの悩みは、窓口となる地域包括支援センターに相談することが、解決への足掛かりとなります。

     

    〈認知症初期集中支援チームの役割〉

     

    ●認知症かどうかの評価

    ●適切な医療機関の受診を促し、継続的な医療支援につなげる

    ●適切な介護サービスを案内

    ●生活環境の改善やケアについてのアドバイス

    ●介護者との情報共有

    ●介護者の負担軽減や健康保持についてのサポート

    ●啓発活動 など

     

    認知症初期集中支援チームの設置は、2018年4月から全国の市区町村に義務付けられています。

     

    しかし実は、当院のある埼玉県比企郡滑川町ではさかのぼること6年、2012年から町独自のサービスとして、健康を損ねている疑いがありながら、一人暮らしなどで受診に至っていない高齢者を、必要な医療や介護へつなげる取り組みを続けています。私は立ち上げ時から参画しており、今までに200世帯を超える認知症疑いの方や家族のサポートにあたってきました。

     

    私が滑川町より依頼を受けて、この事業に取り組むにあたり、こだわりをもっていたのが、「居宅訪問」です。

     

    20年以上前に、東京都品川区との連携で行っていた居宅訪問を、ぜひこの滑川町でもやるべきだと意見し、保健師や自治体の方と一緒に足を運んでいます。

     

    国の認知症初期集中支援チームのマニュアルには、医師の訪問は特に義務付けられてはおらず、基本的には保健師が居宅訪問をして、そこで得た情報をチーム内の認知症サポート医と共有、協議のうえ、その後の対応を決めるということになっています。実際、サポート医が帯同するケースは、私の知る限りではほかにはほとんどないと思われます。

     

    現在、当院では滑川町以外にも5つの町の認知症初期集中支援チームに参画していますが、少なくとも埼玉県内では、私が参画している以外の地域では医師の訪問はほとんど行われていないようです。

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    ※本連載は、磯野浩氏の著書『認知症診断の不都合な真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    認知症診断の不都合な真実

    認知症診断の不都合な真実

    磯野 浩

    幻冬舎メディアコンサルティング

    超高齢社会に突入した日本において、認知症はもはや国民病になりつつあります。そんななか、「認知症」という「誤診」の多発が問題視されています。 高齢者はさまざまな疾患を併せ持っているケースが多く、それらが関連しあ…

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