足元で急拡大する豪州でのオミクロン株感染
豪州では、2021年末からオミクロン株の感染が急拡大しています。新規感染者数はデルタ株の第三波を大幅に上回り、足元では1日当たり数万人レベルに急増しています。もっとも、豪州では16歳以上の人口の90%以上が2回のワクチン接種を完了させていることもあり、感染者数の急増と比べて死亡者数は抑制傾向にあります(図表3)。
ブースター接種加速で経済活動は再び活性化へ
豪州政府は新型コロナウイルスと経済活動の共生を図るため、足元のオミクロン株拡大でもロックダウン(都市封鎖)は行わない方針を維持しています。
2021年後半の感染第三波(デルタ株)の終息以降、豪州では順調な経済活動の再開が進んできましたが、足元の感染第四波を受けて2022年1月の経済活動は小幅に鈍化する傾向にあります(図表4)。
ただし、豪州ではワクチンのブースター接種が急速に進みつつあり、すでに3回目接種率は16歳以上人口の20%超の水準に達しています(図表5)。現在の接種トレンドが続けば、2022年上半期中にも豪州におけるオミクロン株感染は終息に向かい、経済活動の再活性化が豪ドル相場の見直し材料として浮上する可能性がありそうです。
グリーンフレーションが豪州の資源価格を押し上げ
最後に、足元の豪ドル相場には高水準のコモディティ価格と比較した割安感が残されています(図表6)。
2021年後半には、豪州の最大の輸出資源である鉄鉱石の価格下落が進んだものの、足元では1トン=120~130米ドル近辺まで価格回復が進んでいます。中国では2月の北京五輪にかけて環境対策としての鉄鋼減産圧力が続く可能性が高いものの、五輪後の鉄鋼生産の回復期待が足元の鉄鉱石価格を支えている模様です。
また、2021年には世界的な脱炭素化の動きがコモディティ価格の上昇を引き起こす「グリーンフレーション」が顕在化しました(図表7)。すでに足元でも鉄鉱石に次ぐ豪州の輸出資源である石炭や液化天然ガスの価格が大きく上昇しており、2022年も豪州の資源はグリーンフレーションの観点から注目度が高まりそうです(図表8)。
和泉 祐一
フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社
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