米国疾病予防対策センターからの報告も概ね同様です3)。米国にはワクチン接種者が自ら副反応を登録するv-safeというシステムがあります。そこに登録された主な副反応は、接種部位反応(74.9%)、だるさ(56.0%)、頭痛(43.4%)、筋肉痛(42.7%)、発熱(29.0%)でした。仕事や学校を休んだという人は11.3%と報告されています。
この米国からの報告では、モデルナ社製ワクチンの2回接種後にファイザー社製ワクチンを追加接種した人とファイザー社製ワクチンを2回接種後にモデルナ社製のワクチンを追加接種した人も報告されています。この報告では重大な副反応はみられていませんでしたが、前者はモデルナ社製ワクチンを2回接種した人の1.4%、後者はファイザー社製ワクチンを2回接種した人の1.7%にとどまっており、今後の報告が待たれます。
オミクロン株にワクチンは有効か?
ファイザー社製ワクチンの入院予防効果は、70%程度と報告されています4)。この報告は南アフリカからの報告です。南アフリカでは昨年9月から10月にかけてデルタ株が感染の主流でしたが、11月から12月にかけてオミクロン株が主流になりました。その後、米国や英国など欧州に広がりを見せ、現在に至っています。
この研究では、ファイザー社製ワクチン2回接種者を対象に、オミクロン株が優位な期間のワクチンの効果とデルタ株が優位な期間のワクチンンの効果を比較した研究になります。オミクロン株優位な期間の予防効果は70%で、デルタ株優位な期間の予防効果は93%でした。一見するとワクチンの効果は低下していますが、維持されていたともいえます。日本が現在行っているような追加接種を進めるとワクチンの予防効果の低下を防ぐことができるかもしれません。
ワクチン追加接種と基本的な感染対策も
新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの追加接種は、オミクロン株にも一定の効果が期待できそうです。追加接種の副反応は、概ね2回目接種とほぼ同じと考えてよいでしょう。
しかし、日本に先行してワクチン接種が進んだ米国、英国でオミクロン株が蔓延しているように、ワクチン接種だけでは新型コロナウイルス感染症の流行を止めることはできません。ワクチンの追加接種に加えて「マスクの着用」や「手洗い」、「3密(密接・密集・密閉)の回避」、「換気」など基本的な感染対策にも気を配りましょう。体調不良の際には外出や移動を控え、周囲の人への感染拡大のリスクを減らしましょう。
ワクチン接種と感染対策の二つが新型コロナウイルス感染症への対策の両輪です。読者の皆様もご協力よろしくお願いします。
●参考文献:
1) Arbel R, Hammerman A, Sergienko R, Friger M, Peretz A, Netzer D, Yaron S. BNT162b2 Vaccine Booster and Mortality Due to Covid-19. N Engl J Med. 2021.23;385(26):2413-2420.
2) ファイザー社ワクチン初回接種者に対するファイザー社ワクチン3回目接種後中間報告.伊藤澄信, 楠 進, 土田 尚, 金子 善博, 飛田 護邦. 2021.(最終閲覧 2021年1月5日) https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000872662.pdf
3) Hause AM, Baggs J, Gee J, Marquez P, Myers TR, Shimabukuro TT, Shay DK. Safety Monitoring of an Additional Dose of COVID-19 Vaccine - United States, August 12-September 19, 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021.1;70(39):1379-1384.
4) Collie S, Champion J, Moultrie H, Bekker LG, Gray G. Effectiveness of BNT162b2 Vaccine against Omicron Variant in South Africa. N Engl J Med. 2021. 29.
片山 皓太
国際医療福祉大学成田病院 総合診療科
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