(※写真はイメージです/PIXTA)

原稿執筆現在(2022年11月12日)、新型コロナウイルス感染症の流行からもうすぐ3年となり、日本は「コロナ第8波」に入ったと言われています。一方で「コロナ後遺症」という言葉もよく耳にするようになりました。「コロナ後遺症」外来を担当している総合診療医が実際の経験をもとに対応法について考えます。

「コロナ後遺症」とはどのような症状か?

WHOは「コロナ後遺症」を「新型コロナウイルス感染症後の症状は、新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明つかないもの」と定義しています[1]。

 

新型コロナウイルスに感染後、12.7%で後遺症が生じるとの報告があり[2]、症状は、疲労感・だるさ、息切れ、思考力や記憶力の低下、関節痛や筋肉痛、咳や痰、脱毛、味覚障害や嗅覚障害など多岐にわたります[3]。一方で、いずれの症状も時間がたつとともに改善していくことも分かっています。

 

「コロナ後遺症」に対する治療法は、現時点ではっきりとわかっていません。日本では、漢方薬、以前から慢性上咽頭炎に活用されていた上咽頭擦過療法[4]、リハビリテーション、そして各医療機関で行われている自費診療など様々な治療が試されています。

 

一方で「脳の中に霞がかかったような」brain fogや強い疲労感、物忘れなどのため休職や退職を余儀なくされる方もいて、医療だけでなく職場とのやり取りや社会保障制度の活用なども必要になります。

「コロナ後遺症」に騙されない

新型コロナウイルス感染症に罹った方に、その後、何らかの症状がみられると、ついつい「コロナ後遺症」と考えてしまいます。しかし、WHOのコロナ後遺症の定義にあるように、コロナ後遺症と診断するためにはほかの疾患の可能性を否定しなければなりません。

 

例えば、もともと持病で持っていた糖尿病など生活習慣病の悪化、喘息の悪化などの可能性があればコロナ後遺症とは言えません。職場環境の変化でうつ病になり、その直後に新型コロナウイルス感染症にかかってしまい、うつ症状が悪化してしまったという場合もあります。このように新型コロナウイルス感染症にかかったからといって全てがコロナ後遺症というわけではないのです。

 

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