(※写真はイメージです/PIXTA)

相続・贈与対策でおさえておきたい「生命保険の活用」のポイントについて、税理士の追中徳久氏が解説していきます。 ※本連載は書籍『保険税務のプロによる 相続・贈与のお悩み解決ノート』(ぎょうせい)から一部を抜粋し、再編集したものです。

保険金で「相続税を支払いませんか」?

③一般的に保険金受取人は配偶者でなく、子にすべきとされていました。

 

配偶者には、最低でも相続財産1億6,000万円までは相続税がかからない「配偶者の税額軽減」があるからです。子にはこの軽減措置がありませんし、子育て(親からみたら孫)でお金が必要な場合が多かったからです。

 

しかし、時代は変わり、老老相続が主流の現在、子育てが終わっている場合が増えてきました。また、2019年時点の65歳の平均余命が男性19.83年、女性24.63年(厚生労働省簡易生命表)と、90歳を一つの目安として老後の生活資金を考える必要が生じています。

 

先に妻を亡くした夫の場合、残された時間は夫婦間の年齢差からも短いのかもしれませんが、先に夫を亡くした妻の場合、残された時間は20年を超える場合もあります。残された妻に不自由のない生活費を残してあげたいと思うならば、非課税枠にこだわらない金額の保険に加入してあげてください。年金として生涯受け取ることも可能です。

 

なお、遺言により、受取人を内縁の妻や甥や姪に変更するのは可能です。遺言執行者(遺言書で指名できます)から保険会社に必ず通知するよう、遺言書に明記してください。

 

④相続税は現金支払いが原則です。保険金で相続税を支払いませんか?

 

物納や延納といった制度はありますが、必ずしも認められるわけではありません。自宅が主な相続財産である場合、概算でもいいので相続税を考えた保険加入を検討してください([図表1]相続税額早見表参照)。

 

[図表1]相続税額早見表

 

この場合、二次相続での相続税もあわせて検討してください。

 

たとえば、契約者(=保険料負担者)=保険金受取人:父、被保険者:母の契約です。父が先に亡くなった場合、解約返戻金の額で母に相続されますが、通常、解約返戻金の額<支払保険料総額なので、差額だけ相続財産が減少します。

 

しかも、次に母が亡くなった場合(二次相続)、500万円×法定相続人の数の非課税枠が使えます。

次ページ子や孫に「生命保険に加入してもらう」という選択肢
保険税務のプロによる 相続・贈与のお悩み解決ノート

保険税務のプロによる 相続・贈与のお悩み解決ノート

追中 徳久

ぎょうせい

相続税の不安を解消! 保険契約者からの実際の相談をベースに、人生100年時代=老老相続に備えるための相続手続について解説。 生命保険の一定金額は、支払時に所得控除、受取時に非課税となるのをご存じですか? 度重な…

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