(※写真はイメージです/PIXTA)

相続・贈与対策でおさえておきたい「生命保険の活用」のポイントについて、税理士の追中徳久氏が解説していきます。 ※本連載は書籍『保険税務のプロによる 相続・贈与のお悩み解決ノート』(ぎょうせい)から一部を抜粋し、再編集したものです。

子や孫に「生命保険に加入してもらう」という選択肢

⑤最近の相続では兄弟姉妹の平等が一般的になりつつあります。

 

長男が多くを相続することは少なくなりました。そのため自宅が主な相続財産である場合、遺産分割を円滑にするために、相続人のうち誰か(例えば兄)が単独で自宅を相続し、他の相続人(例えば弟)に現金(代償交付金といいます)を渡します。生命保険をこの代償交付金の準備に利用します。

 

注意しないといけないのは、保険金受取人は代償交付金を支払う相続人(兄)にする点です。代償交付金を受け取る相続人(弟)ではありません。死亡保険金は受取人固有の財産と考えるからで、代償交付金は兄から弟に渡す必要があります。

 

なお、2019年7月から遺留分侵害額請求権が金銭で解決されることになりました。この結果、死亡保険金の重要性がより増したと言えます。

 

⑥法人を経営している方は、法人で保険に加入できないか検討します。

 

契約者:法人、被保険者:経営者、保険金受取人:法人とし、法人は受け取った死亡保険金から経営者の遺族に役員退職金を支払います。その退職金には、500万円×法定相続人の数の退職金の非課税枠が適用されます。これは保険金の非課税枠とは別枠です。

 

法人が契約する場合、終身保険以外に、長期定期保険、逓増定期保険、養老保険と検討できる保険種類が増えます。

 

⑦保険料相当額を子、孫や兄弟姉妹に贈与して、子、孫や兄弟姉妹に生命保険に加入してもらうのはよい方法です。

 

この場合、子、孫や兄弟姉妹自身を被保険者にするのでもいいのですが、被相続人を被保険者にして、子、孫や兄弟姉妹に、保険料負担者=保険金受取人の形で保険金を渡すことも検討してください。

 

保険金受取人としての子、孫や兄弟姉妹の一時所得となりますので、子、孫や兄弟姉妹は受取人単独で所得税等の確定申告ができます。相続税申告のようにいっしょに申告しなくてもよくなります。近親者にお金は渡したいけれど、相続財産の総額を知られたくない場合もあるのです。

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保険税務のプロによる 相続・贈与のお悩み解決ノート

保険税務のプロによる 相続・贈与のお悩み解決ノート

追中 徳久

ぎょうせい

相続税の不安を解消! 保険契約者からの実際の相談をベースに、人生100年時代=老老相続に備えるための相続手続について解説。 生命保険の一定金額は、支払時に所得控除、受取時に非課税となるのをご存じですか? 度重な…

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