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今後数年で、日本は医師過剰の時代に突入
2019年春、厚労省担当者と医療・医学部関係者らが参加する「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会が開かれました。そこでは、2020年度と2021年度の医学部の入学定員について、そして2022年度以降の医学部定員について討議されました。
結果、直近の2020年度と2021年度については、「現状の定員数をおおむね維持する」ことになりました。本来2020年度から大幅定員減に向かう予定でしたが、2018年度調査の結果公表が2019年末になり、2020年度の受験対策に間に合わないため、受験生に配慮した措置が取られたのです。
2022年度以降については、「医学部定員は減らす方向」で提案が出され、参加した医学部関係者らもおおむねこの案を支持し、現在に至っています。
なお、志願者数は長年減少傾向にありましたが、2021年度の国公立大学前期入試では7年ぶりに増加が見られました。私立大学に関しては、コロナ禍でやたらと願書を出す行為にはブレーキがかかりましたが、受験生たちの医療への関心は高まっているようです。
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さて、なぜ医学部定員を減らさなければならないのか。その根拠として、厚労省は今後の医師の需給推計を掲げました。
医師の労働時間を週60時間程度とした場合、2028年頃には医師数約35万人で需給が均衡、もしくは週55時間程度の労働なら、2033年頃には、医師数約36万人で需給が均衡するというものです。すなわち、2020年度の医学部入学者が臨床研修を修了する2028年頃に医師数が充足し、それ以降は医師過剰の時代に突入するという推測です。
参加者からは、「医学部定員だけでなく、医学部の卒業試験、医師国家試験の段階のほか、専門医定数によっても医師数の調整が可能と思われるので、医学部定員は一定数確保してほしい」などの要望が挙がりました。将来、医師の需要が減少していくことは間違いないと理解しているものの、定員減で学生が減るということは、大学にとって死活問題です。
また、日本は高齢化が進んでいるため医療需要が増えるという見方もありますが、65歳以上の高齢者数は2040年頃をピークに減少の一途をたどる推計です。