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事業承継のスタート時に明確化すべき「財産」の種類

前回は、親子承継で「後継者の抱く不安」を和らげる方法について説明しました。今回は、事業承継のスタート時に明確化すべき「財産」の種類について見ていきます。

兄弟や親族への「後継者の決定」の連絡は慎重に

後継者に事業承継の意思を伝えてその合意を得られたなら、その次には後継者の兄弟や会社経営に関与するその他の親族などへ、その事実を告知する必要が出てきます。

 

このステップは、決して疎かにしてはいけません。兄弟や親族への告知の仕方は慎重に考えるべきです。場合によっては、親族会議を開いてしっかりと説明をするほどのものと意識しなければなりません。

 

事業承継には相続が深く関わってきます。特に後継者以外の相続人に対しては財産分与を中心として、十分な配慮が求められます。それを怠ってしまうと、相続争いから事業承継にも支障をきたし、悪くすれば事業全体が傾くことにもつながりかねません。

 

そうなってくれば、すぐさま告知や親族会議をすれば済むというわけにはいきません。当然ですが関係者を集め「後継者が決まりました」と伝えるだけでこと足りるわけではないのです。財産について、その分け方について、そして事業承継のスケジュールについてなど、重要なことをあらかじめ伝え、兄弟や親族を「安心」させることもポイントです。

 

そのためにも、先立って行うべきことがあります。その最初のステップは事業に関連する財産の承継について、後継者と経営者が話し合うことです。なかでも、まずは財産の洗い出しをすべきでしょう。

「事業の財産」はスタート段階ですべて把握しておく

経営者にとっての財産は大きく2つに分けられます。それは個人の財産と事業の財産です。

 

個人の財産は言うまでもなく、住んでいる自宅や事業とは関係のない土地や建物、現金、預金、株式といったものです。前述した通り、事業承継は相続とも関係するので当然個人の財産にも関わってきます。

 

ただし、手順としては事業の財産を洗い出すことを優先すべきです。この場合、事業の財産として考えられるものには、自社株や事業に関係する土地、建物、運転資金などが挙げられます。当然、これらは後継者に譲るべきものです。

 

親族会議は相続人全員を交え、すべての財産についての整理を行った方がよいというのが一般論です。ただし、今回は短期間での事業承継、特に本連載では大幅に期間を短縮した1年で、確実な道筋をつけることを目指しています。結論から言えば、「全員が参加」「すべての財産」というのは難しいことが多いと想定できます。

 

まずは最低限としてクリアすべき内容をしっかり進めましょう。少なくとも、事業関連の財産だけは事業承継のスタート段階できっちり明らかにし、後継者に把握させなければなりません。その上で、それらをどうやって承継するかを明らかにすべきです。

 

さらに、もしこの段階で個人の財産の詳細にまで話が進められるようならば、なおよいでしょう。ただし、欲張らないこと、成果を急ぎ過ぎないことも大事です。むしろ個人財産については大まかな範囲を明らかにし、大体の分配目安を伝えておく程度でも構いません。

浅野会計事務所 所長
仰星監査法人 代表社員 税理士・公認会計士

1965年8月名古屋市生まれ。
1990年名古屋大学卒業。監査法人伊東会計事務所(現・あずさ監査法人/名古屋事務所)で10年間実務に従事、ノウハウを学ぶ。2000年2月、 浅野会計事務所を開業。創業以来、200件を超える事業者の適正申告や経営改善、事業承継など様々な側面からサポートを行っている。

著者紹介

連載1年で事業承継を実現するためのトラブル回避法

本連載は、2016年6月24日刊行の書籍『たった1年で会社をわが子に引き継ぐ方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

 

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

浅野 佳史

幻冬舎メディアコンサルティング

近年、日本の多くの中小企業が承継のタイミングを迎えています。承継にあたっては、親から子へと会社を引き継ぐパターンが多いのですが、親子間だからこそ起こるトラブルがあることを忘れてはいけません。 中小企業白書による…

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