前回は、「後継者の苦労」を見越した事業引継ぎのポイントを取り上げました。今回は、事業承継を成功させる「後継者教育」の第一歩について見ていきます。

家庭でも会社や仕事の話をしてきたか?

事業承継の基本は後継者との双方向のコミュニケーションですから、そこに当然多くの時間を割いていくことになります。また、意識せずとも自然と以前よりも多くの話をするようになったという声もよく聞きます。

 

ところが、ただコミュニケーションを取っているだけでは事業承継に効果的であるとは言えません。仕事についての話はきちんとしているでしょうか。これに関してはこれまでの家庭におけるわが子との関係にまで遡さかのぼって考えてみるのがよいでしょう。

 

後継者育成の第一歩は家庭でのコミュニケーション、教育です。もしかすると経営者自身が意識していなくとも、後継者育成の一翼を担っていた、などということもあるのです。会社のことについて、事業について、これまで家庭で話をしてきたでしょうか。

 

また、事業の現場を見せたり、手伝いをさせたりはしてきたでしょうか。何気なくであっても幼い頃から事業に触れてきた子どもは、やはり事業承継にも意欲が高いことが多く、同時に、会社や事業のキモの部分を自然と把握していることもあります。事業承継の際にはその経験が非常に有効です。

第三者への承継より親子の事業引き継ぎは容易!?

世の中には「会社のことは家庭に持ち込まない」という主義を貫かれている方も多くいます。しかしながら、少しでも自分自身の仕事について話してあげることが、実は後継者教育の第一歩なのです。

 

これまでまったくそういった話をしてこなかったという経営者も、これから少しでも多く後継者と仕事についての話をするようにしてください。こうした意識はこれからはじまる事業承継に大きな効果を与えるはずです。たった今この瞬間からであっても、やるべきことは最大限にやるべきです。

 

これまで事業承継というものは失敗しやすいと何度も説明しましたが、第三者への承継に比べれば親子承継は引き継ぎが容易です。さらに従業員や関係者の理解も得やすいなどの利点があるため、本来そういった利点を踏まえてポジティブに進めていけば、必ずうまくいくはずです。

本連載は、2016年6月24日刊行の書籍『たった1年で会社をわが子に引き継ぐ方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

浅野 佳史

幻冬舎メディアコンサルティング

近年、日本の多くの中小企業が承継のタイミングを迎えています。承継にあたっては、親から子へと会社を引き継ぐパターンが多いのですが、親子間だからこそ起こるトラブルがあることを忘れてはいけません。 中小企業白書による…

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