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新研修医制度のしわ寄せを受け、医局を去ることを決意
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【城田さん(仮名)のプロフィール】
年齢:52歳
所属:フリーランス
専門(標榜科):麻酔科
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「バブルが崩壊した1990年代の初めに医学部を卒業し、当たり前のように卒業した医大の付属病院に研修医として就職しました。当時、新人の給与は月15万円ほど。勤務時間は、1日15時間以上、月の休みも1回あるかないかというのが普通でした。」
そう語る城田さん(仮名)は、医局でキャリアを積み重ねてきた麻酔科の女性医師です。
研修医時代から、関連の救急指定病院などに一人で当直のアルバイトに出掛け、生活費をカバー。大変な思いもしましたが、年数を重ねるにつれ収入や待遇は良くなり、医師として成長している実感があったそうです。
専門医の資格を取ったあとは大学院に進んで博士号を取得、30代半ばで医学部講師のポストまでたどり着きました。
ところが、そこで環境が大きく変わる事態に。2004年に新しい研修医制度が始まり、新人医師はまず2年間、特定の医局に属さず、いろいろな診療科をローテーションして初期臨床研修を積むことが義務付けられたのです。
もちろん、出身大学の付属病院で初期臨床研修を積んでもいいのですが、大学病院以外の特に都市部の市中病院で研修するケースが増え、新人医師がほとんど入ってこなくなる大学病院も。
新人医師が入ってこなくなると、関連病院への医師の紹介・派遣など医局の運営は難しくなります。そのしわ寄せは中堅クラスの医師にのし掛かり、医局を去るケースも出てきました。
「私も数年は頑張っていたのですが、このままでは先が見えないという想いがつのり、教授に辞表を出しました。しばらくは出張麻酔のアルバイトでもしながら、ゆっくり次の病院を探そうと考えていたんです。ところが、退職の連絡をあちこちにしていたら、2~3ヵ月先まで依頼が殺到。正直、驚くとともに、これならフリーランスとしてやっていける、って確信しました。」