写真提供:アトリエハレトケ

日本の住宅は、他の先進国と比べて「驚くほど寒い」ことをご存知でしょうか。家を建てる際には、「断熱性能」の高さを重視し、健康で快適な生活を実現したいもの。そのために知っておきたいいくつもの「基礎知識」について、住まいるサポート株式会社代表取締役の高橋彰氏が解説していきます。

木造、鉄骨、鉄筋コンクリート…高断熱に最適なのは?

さて、高断熱住宅にしたいと思ったら、住宅の構造はどうするとよいのでしょうか?

 

一般的に戸建住宅の構造は、木造、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)に分けられます。さらに細分化もできますが、ここではそこまでは踏み込まないことにします。

 

結論から言うと、住宅の断熱・気密性能にこだわりたいのなら「木造」一択です。木、コンクリート、鉄の熱伝導率を比べると、木はコンクリートの約1/12、鉄の約1/500です。

 

特に鉄骨造は、構造体が熱橋(断熱性能が低く、熱を通しやすい箇所)になってしまいます。さらに断熱性能以上に、気密性能の確保が非常に難しい工法です。

 

そのため、鉄骨造で高気密・高断熱住宅を建てるのはとても難しいことです。鉄骨造のハウスメーカーの住宅展示場を訪ねて、「高気密の住宅にしたいのですが…」と尋ねてみてください。営業マンの反応でこの事実はすぐにわかると思います。

 

鉄筋コンクリート造については、断熱・気密性能という観点では、選択肢としてはありです。ただし木造に比べて建築コストがかなり高くなります。よって、2~3階建ての戸建住宅で、敢えて鉄筋コンクリート造を選ぶ理由はさほどないかと思われます。

 

もしどうしても鉄筋コンクリート造にしたいのであれば、外断熱にすることを強くお勧めします。これも日本の建築・住宅業界が他国と異なる点なのですが、日本以外の国々では、鉄筋コンクリート造は外断熱が基本です。なぜか日本だけ、内断熱が一般的になっています。

 

鉄筋コンクリート造の内断熱は、住宅の温熱環境(冬暖かく夏涼しい性能)や躯体の耐久性といった点で非常に不利になります。これについても、次回以降で詳しくご説明したいと思います。

最低限理解しておきたい「壁の断熱方式」

次に、木造を前提とした断熱方式を見ていきましょう。[図表4]に示す通り、木造の壁の断熱方式は大きく3通りに分けられます。

 

[図表4]断熱方式の違い(木造)

 

最も一般的なのは、柱と柱の間の空間に断熱材を充填する内断熱(充填断熱)です。柱の外側に断熱材を張る外断熱(外張り断熱)を採用している工務店も、比較的見受けられます。

 

それぞれ一長一短がありますが、私はどちらでもいいかなと思っています。東京等の6地域ではいずれの断熱方式でも、窓を樹脂サッシのペアもしくはトリプルガラスにすることで、概ねG2レベルのUA値0.46前後を確保することが可能です。

 

G3レベル等のさらなる高断熱化を目指す場合は、充填断熱と外張り断熱の両方を行うダブル断熱が必要になります。当然、建築コストは上がります。ですが、冷暖房光熱費の削減や健康・快適性のメリットに鑑みると、G3レベルを目指す意味はあると思います。この経済性の評価についても、別の回でご説明します。

 

壁以外に、天井側については天井断熱・屋根断熱・桁上断熱、床側については床断熱・外基礎断熱・内基礎断熱といった方式があります。ネットでもわかりやすい資料が見つけられますので、興味があれば少し調べてみてください。

次ページ断熱材の種類は何でもいいが…「これ」には要注意!

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