オンライン診療の特例恒久化に向けた動向と論点…初診対面原則の是非が争点、曖昧な「かかりつけ医」をどうするか

オンライン診療の特例恒久化に向けた動向と論点…初診対面原則の是非が争点、曖昧な「かかりつけ医」をどうするか
(写真はイメージです/PIXTA)

パソコンやスマートフォンの画面越しに医師とやり取りするオンライン診療。忙しい人にとっては、仕事や家事等の空き時間に受診することができるため非常に便利です。しかし、医師にわたる情報がかなり限定されるため病気の見落としや誤診が懸念されています。本記事では、ニッセイ基礎研究所の三原岳氏がオンライン診療に関する論点や課題について解説します。 ※本記事は、ニッセイ基礎研究所の医療保険制度に関するレポートを転載したものです。

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    改定される指針案の概要

    新設された「かかりつけの医師」の定義

     

    指針案を見ると、オンライン診療の基本理念として、

     

    (1)得られる情報が視覚及び聴覚に限られる中で、可能な限り、疾病の見落としや誤診を防ぐ必要がある
    (2)医師が、患者から心身の状態に関する適切な情報を得るために、日頃より直接の対面診療を重ねるなど、医師―患者間で信頼関係を築いておく必要がある

     

    ――という考え方を残しつつ、「原則直接の対面」という文言が削除された。これが「初診対面原則」の特例撤廃の恒久化に関わる部分になる。

     

    その代わりに、指針案では「『かかりつけの医師』に限って利用されることが基本」「原則として初診は対面診療で行い、その後も同一の医師による対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められる」という文言が付け加えられた。

     

    ここで言う「かかりつけの医師」とは、「日頃より直接の対面診療を重ねている等、患者と直接的な関係が既に存在する医師」と指針案で定義されており、新しく加えられた概念と言葉である。つまり、直接的な関係を持っている患者と医師のケースを原則に、オンライン診療を認める方針に変更は加えられなかった。

     

    一方、「かかりつけの医師」以外が初診からオンライン診療を実施できるケースも認められた。具体的には、過去の受診記録や健康診断の結果などを通じて、既往歴や服薬情報といった医学情報を「十分に把握でき、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合」には、「かかりつけの医師」以外の医師でもオンライン診療を初診から実施できると定められている。

     

    分かりやすく言うと、「かかりつけの医師」以外の医師でも、患者の情報を十分に把握できれば、初診からオンライン診療が認められることになるわけだ。

     

    新設された「診療前相談」の考え方

     

    さらに「診療前相談」というオンライン受診勧奨の考え方が指針案に追加された。これは「かかりつけの医師」以外の医師がオンライン診療を実施できるか判断できない場合、オンラインにおける映像を用いたリアルタイムのやりとりを通じて、患者の症状や医学的な情報を確認する行為を指す。

     

    これを通じて医師が患者の適切な情報を把握でき、患者と医師の双方が合意した場合、オンライン診療の実施が可能と定められた。ただし、指針案では診療前相談は受診勧奨であり、診断、処方その他の診療行為は含まないと位置付けられている。

     

    その他の内容

     

    このほか、指針案では「かかりつけの医師」を持っていない患者に関しては、オンライン診療を実施した医師が「対面診療を行うことが望ましい」としつつも、「患者の近隣の対面診療が可能な医療機関に紹介することも想定される」という文言が盛り込まれた。

     

    オンライン診療で処方される薬剤については、日本医学会連合などが作成したガイドラインに沿って設定するとし、初診からの処方に関しては、安全確保の観点に立ち、

     

    ▽麻薬や向精神薬などは対象外

    ▽基礎疾患などが十分に把握できていない患者には8日分以上の処方はしない

     

    ――といった制限を設ける考えが盛り込まれた。

     

    指針案の評価

     

    以上のような内容を踏まえると、初診対面原則が撤廃されたことは事実であり、かかりつけ医以外の医師でも患者に関する医療情報を十分に持っていれば、初診からのオンライン診療が可能となった。

     

    さらに受診勧奨である「診療前相談」についても、診断や処方は認められていないが、これを積み重ねればオンライン診療が可能であり、患者のアクセスが改善される可能性がある。

     

    一方、「かかりつけの医師」など日頃の対面診療を通じて患者―医師の信頼関係が存在するようなケースを中心に据えている点で、初診対面原則が大幅に見直されたと言えるかどうか微妙である。

     

    では、こういった結論がなぜ下されたのだろうか。そもそもの問題として、「初めて会う患者に対してオンライン診療を認めるか否か」を論じているのに、「日頃より直接の対面診療を重ねている『かかりつけの医師』に限ってOK」という結論には分かりにくさが残る。

     

    こうした決着になった背景を探るため、検討会の議論や争点を簡単に考察する。

     

    次ページ検討会における議論と争点

    本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2021年12月28日に公開したレポートを転載したものです。

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