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本記事は、ニッセイ基礎研究所が公開した日本経済に関するレポートを転載したものです。

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    コアCPI上昇率は前月から0.4ポイント拡大

    総務省が12月24日に公表した消費者物価指数によると、21年11月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.5%(10月:同0.1%)となり、上昇率は前月から0.4ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:0.4%、当社予想も0.4%)を上回る結果であった。

     

    [図表1]消費者物価指数の推移
    [図表1]消費者物価指数の推移

     

    携帯電話通信料の大幅下落が引き続きコアCPIを大きく押し下げているが、エネルギー、食料(生鮮食品を除く)の上昇率が高まったことがコアCPIを押し上げた。

     

    生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比▲0.6%(10月:同▲0.7%)、総合は前年比0.6%(10月:同0.1%)となった。

     

    コアCPIの内訳をみると、電気代(10月:前年比7.7%→11月:同10.7%)、ガス代(10月:前年比3.7%→11月:同7.2%)、ガソリン(10月:前年比21.4%→11月:同27.1%)、灯油(10月:前年比25.9%→11月:同36.2%)がいずれも前月から伸びを高めたため、エネルギー価格の上昇率が10月の前年比11.3%から同15.6%へと高まった。

     

    食料(生鮮食品を除く)は10月の前年比0.7%から同1.1%へと伸びを高めた。原材料価格の高騰を受けて、油脂・調味料(10月:前年比2.1%→11月:同2.6%)、調理食品(10月:前年比1.1%→11月:同1.7%)、菓子類(10月:前年比0.8%→11月:同1.5%)、一般外食(10月:前年比0.3%→11月:同0.6%)の伸びが高まった[図表1]。

     

    [図表2]消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解
    [図表2]消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解

     

    コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが1.12%(10月:0.83%)、食料(生鮮食品を除く)が0.26%(10月:0.16%)、携帯電話通信料が▲1.54%(10月:同▲1.54%)、Go Toトラベルが0.44%(10月:同0.37%)、その他が0.23%(10月:0.28%)であった(Go Toトラベルは当研究所による試算値)。

    物価上昇の裾野が広がる

    消費者物価指数の調査対象522品目(生鮮食品を除く)を前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、11月の上昇品目数は293品目(10月は294品目)、下落品目数は165品目(10月は175品目)となった。上昇品目数は前月とほぼ変わらなかったが、下落品目数が前月から減少した。

     

    上昇品目数の割合は56.1%(10月は56.3%)、下落品目数の割合は30.7%(10月は33.5%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は25.5%(10月は22.8%)であった[図表2]。

     

    [図表2]消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」
    [図表2]消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」

     

    原材料価格の高騰を受けて、食料を中心に物価上昇の裾野は徐々に広がっている。

    コアCPI上昇率は22年度入り後に1%台半ばへ

    11月のコアCPIは、エネルギー価格の上昇ペース加速を主因として伸びを高めた。原油高の一服を受けてガソリン、灯油の伸びは今後頭打ちとなるが、原油高の影響が遅れて反映される電気代、ガス代の伸びがさらに加速するため、エネルギー価格の上昇率は高止まりし、コアCPI上昇率への寄与度は当面1%台前半で推移することが見込まれる[図表3]。

     

    [図表3]コアCPIに対するエネルギーの寄与度
    [図表3]コアCPIに対するエネルギーの寄与度

     

    また、原材料価格上昇によるコスト増を転嫁する動きが広がることにより、食料(生鮮食品を除く)は一段と伸びを高める可能性が高い。

     

    コアCPI上昇率は、「Go Toトラベル」停止による押し上げ効果が剥落する22年1月以降はいったん鈍化するが、携帯電話通信料の大幅下落の影響が縮小する22年度入り後には、1%台半ばまで加速することが予想される。

     

     

    斎藤 太郎

    ニッセイ基礎研究所

     

     

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