(※写真はイメージです/PIXTA)

半世紀ものあいだ「生産性が低い」と言われ続けている日本ですが、決して「ハイパフォーマー」な人材がいないわけではありません。ハイパフォーマーを雇用できても「台無し」にしてしまう、日本ならではの事情について見ていきましょう。

ハイパフォーマーを育成する3つの方法

そうはいうものの、旧来の人事制度を一足飛びに変えるのはなかなか難しいことです。日本では企業だけでなく、社会全体が急速な変化を好まない傾向もあります。徐々に変えていくために、今すぐできることは3つあります。

 

1つ目は、ハイパフォーマーには努力しないと届かない目標、すなわちストレッチゴールを与えることです。全社員にストレッチゴールを与えることを推奨する人もいます。そうだとしてもハイパフォーマーとアベレージパフォーマーではストレッチの大きさを変えないと意味がありません。ハイパフォーマーには、「ムーンショット」と呼ばれるような、少しぐらい手を伸ばしただけでは届かないような目標を与えるべきです。アベレージパフォーマーにそのような目標を与えるとメンタル不調に陥る危険があります。しかしハイパフォーマーとは、ビジネス適応力が高い人のことですから、そのような目標を与えてもそうそう簡単につぶれることはありません。その分裁量権を与えることで、高い達成感を味わうこともできます。当然、有意味感も高まり、ビジネス適応力の向上スピードが加速されることになります。

 

2つ目は、比較対象を変えることです。アベレージパフォーマーと比較する機会ばかり与えていれば目線が下がります。まずは1年前の自分と比較させる習慣を身につけさせることです。そして社内のほかのハイパフォーマーや社外の同世代のハイパフォーマーに目を向けさせるようにすることです。例えばさまざまな企業から選抜されてきたハイパフォーマーが集まる研究会や団体があります。そのようなところにハイパフォーマーを積極的に参加させるのもいいかもしれません。将来のための人脈形成にも役立ちますし、何よりもさまざまな考えを知って視野が広がります。高い目線と広い視野がハイパフォーマーには必要なのです。

 

3つ目は、圧倒的なライバルの姿を見せつけることです。30代前半までに海外企業との共同プロジェクトに参加した経験のある社員には、決断力、リーダーシップ、洞察力などの面において年齢不相応な成長が顕著に見られることが分かっています。また有名人でなくても、ほかの業界の若手ハイパフォーマーを呼んで講演をしてもらうと、聴講したハイパフォーマーに大きなインパクトを与えることができます。

 

 

梅本 哲

株式会社医療産業研究所 代表取締役

 

 

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※本連載は、梅本哲氏の著書『サイエンスドリブン』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

サイエンスドリブン 生産性向上につながる科学的人事

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梅本 哲

幻冬舎メディアコンサルティング

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